「進学館ルータス」では全学年使える自習室を設け、iPadなどの設備も完備し、自学自習を促す(撮影/写真映像部・高橋奈緒)
「進学館ルータス」では全学年使える自習室を設け、iPadなどの設備も完備し、自学自習を促す(撮影/写真映像部・高橋奈緒)

「難関校に合格する子は、新4年生の入塾時点で、家庭学習である程度学力を身に付けているものです。理論上は新5年生(4年生の2月)の入塾からでも間に合いますが、やはり基礎学力がついていることが前提です」

 受験勉強スタート時点でやることが山積みだと、早いうちからコツコツと準備してきた周りの生徒と差を感じ、子どもが追い込まれてしまうこともあるという。

 吉田氏は「受験準備にスムーズに入るには、家庭でも塾でもよいので、低学年のうちから学習環境をつくる必要があります」と語る。ただ、過度の先取り学習には、あまり意味がないという。いきなり高度な内容に入るのではなく、学齢に合った教材に取り組むことで、理解は深まっていく。

「1~2年生は、まずは基礎力を鍛えることが肝心です。基礎力がある子は強い。ここを踏ん張れば、高学年でぐんと伸びます」

 関西の「馬渕教室」時代から低学年の指導にも力を入れてきた吉田氏は、低学年の目標として「はみがきよし」を掲げる。

「は」は話す力。自分の意見をきちんと持って相手に伝えることは、考える力と表裏一体。社会人になっても問われるものだ。

「み」は見る力。新しいことを学ぶには、絶対的に必要となる力だ。本物を見せ実体験させることで、学びの礎は築かれる。

「が(か)」は書く力。自分の考えを論理的に記すことは、頭の中を整理できている証拠。今の入試でも求められる能力で、記述問題が増えている。

「き」は聞く力。人の話をしっかり聞くことで、新しい知識が入る。説明をいったん受け入れてこそ、自分の考えが構築される。

「よ」は読む力。何が言いたいのか理解する。読み聞かせを含め、どれだけ本を読んできたか。マンガ、ゲームの攻略本といった興味のあるものでもよく、字を読む機会をいかに持つか。

「し」は調べる力。問題に直面したときに、自分で解決する力は重要だ。「どういうこと?」という子どもの問いには答えを返すのではなく、調べ方を教えるべきだ。

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