世界でトップクラスの強豪を相手に、サムライブルーはどう戦えばいいのか――。20日に開幕したサッカーのワールドカップ(W杯)カタール大会で、日本時間の23日午後10時、日本代表は1次リーグ初戦でドイツ代表と激突する。言わずもがな、組織面でも個の能力でも頭一つ抜きん出たドイツ。そんな優勝候補に死角はないのか。同じく優勝候補のアルゼンチンを撃破したサウジアラビアのように、W杯は何が起こるかわからない。日本の「勝ち筋」に迫る。
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ドイツ代表はイメージを一新して久しい。強くてタフな強豪国から強くてタフな上にうまくて速い、極めて現代的なチームに洗練されている。何でもできるのが、今のディー・マンシャフト(ドイツ代表の愛称)だ。
大きな分岐点は、ハンジ・フリックの監督就任だった。
前任のヨアヒム・レーブ監督からEURO2020(2021年開催)で惨敗したチームを引き継いだ指揮官フリックは、監督として率いた強豪クラブのバイエルン時代にともに戦った選手たちを中心に据えながら、代表の立て直しを図った。攻守の切り換えの速さ、攻撃の幅の広さなど、クラブチームと見まがうほどの多彩さを備える。出場32カ国の中でもその実力は誰もが認めるトップクラスだろう。
日本は、この難敵と大会初戦を戦う。ここで勝ち点を取れないようだと目標に掲げるベスト8以上はおろか、グループステージ突破もかなり難しくなる。今回が3度目のW杯出場となる酒井宏樹は「数字上を考えても、マックス勝ち点9しかとれない中で、勝ち点3をいきなり取れるのか。それとも勝ち点5で突破できる可能性がある中、勝てずに残り2試合で勝ち点6を目指さないといけないのかでは全然違う」と話した。酒井はW杯ブラジル大会(2014年)でコートジボワールに逆転負けを喫して初戦を落とし、グループステージ敗退を経験。その4年後のロシア大会で下馬評を覆してコロンビアに勝ち切り、ラウンド16進出を経験している。
顔ぶれで機能不全のハイプレス
ロシア大会の再現を狙うには何が必要か。1-2で敗れた17日のカナダとのテストマッチ後に語った吉田麻也キャプテンの発言が興味深い。
「(プレスに)行くところと、行かないところ。(ボールを)つなぐところと割り切るところを明確にしないと、1人でプレスに行ってはがされてというのが、今日も結構キーパーのところまで行って剥がされるのがありました。(ドイツのGK)ノイアーだったらもっとうまいし、そういうところを徹底しなきゃいけないなって思います」