さらにサイドからゴール前に早いタイミングで送るクロスも有効なプレーになりそうだ。
ドイツは直前にオマーンとテストマッチを戦ったが(16日)、日本と同様にコンディション調整の意味合い強い試合だったとはいえ、オマーンのアーリークロスに反応できない場面が見られた。高さ勝負に望みはないものの、DFとGKの間に入れる鋭いクロスは武器になるはずだ。酒井宏樹、長友佑都、あるいは伊藤洋輝からのボールでチャンスを作りたい。
鎌田が語る「チャンス」の真意
ドイツのノイアーに警戒すべき選手として名を挙げられた鎌田大地は、きっぱりとこう言い切った。
「付け入るスキは全然あると思います。実際試合を見ていても相手が強豪国とだけではなくて、僕たちみたいにコンパクトに守ってやってきているチームに苦戦している印象があるし、現代サッカーではボール保持率はあまり関係がない。彼らは、後ろにすごく速い選手がいるわけではないですし、もちろん自分たちにもチャンスがあるのかと思います」
ドイツは強い。間違いなく優勝候補の一つだ。しかし、勝ち筋が全くないわけではない。
カナダ戦翌日の囲みに応じた森保一監督は非常に追いついていた。初戦への向かい方について聞かれ、こう答えている。
「普段どおりです。皆さん、これまでやってきたことを続けることについてどうとらえるか分からないですけど、常にこのW杯での戦いを見据えて、目標、基準として毎回の活動をやってきました。その目標を見据えて目の前の試合に向けて、最善の準備をするということはこれまでもやってきた。最善という意味で、対戦相手が変われば、準備することも多少変わりますが、言葉自体に変わりはない。対戦相手に勝利できるように準備するのは変わりないので。W杯だから何か特別に(選手に)湧かせるということも、特別な大会ですでに特別なモチベーションになっていると思うので必要ないと思っています」
この日のために4年間を費やしてきたということ。積み上げてきたすべてを、出す時が来た。
(文/AERA dot.ワールドカップ取材班)