高い位置から相手にプレッシャーをかけてボールを奪いに行くタイミングの見極めが重要だと強調した。カナダ戦では選手の意思統一にバラツキがあり、簡単にはがされるシーンが見られた。相手の力の問題もあるものの、9月の欧州遠征のアメリカ戦で見せた前輪駆動型の戦いぶりは,続くエクアドル戦では全くと言っていいほど見られなかった。顔ぶれが変わるとハイプレスが機能しないのは、このチームの一つの課題。「行くべきか行かざるべきか」のタイミングを統一しつつ、機に応じてミドルエリアでブロックを組むことも必要というのが吉田の見解だった。

 フィールドプレーヤーとして4度目のW杯に臨む長友佑都も、同様の考えを口にする。

「ドイツの試合もたくさん見てきましたけど、中途半端にハイプレスへ行くと、GKのノイアーも使って、はがす、打開することが相手はめちゃくちゃうまいので。ハイプレスのところで、行くべきところと行かないところをかなり明確にしないと、やられてしまうと感じています。ミドルゾーンに入ってからのスピードアップが非常に速く、やらせないためにはしっかりとブロックを作ってスペースを消すのか、ハイプレスに行くなら、みんなが連動していくのかをはっきりさせないといけない」

前がかりなドイツに裏スペース

 カナダ戦後の数日間の取材では、映像を使ってミーティングしていると多くの選手が語っていた。吉田と長友が同じ指摘していることから察するに、すでにチーム内で課題は共有され、すり合わせを行っているのだろう。ただし、これはあくまで戦い方のベースの部分であって、勝ち点を奪うには、そのベースを確実に実行した上でドイツに対して何ができるかが重要になる。

右サイドでの伊東純也のスピードに期待
右サイドでの伊東純也のスピードに期待

 その一つは、相手両サイドバックの背後を突くことだろう。とくに攻撃志向の強い左のラウムが空けたスペースを活用したいところ。日本は対峙する伊東純也が入り込んで起点を作り、前田大然が走り込んで最終ラインにギャップを生んで、鎌田大地にパスを通す形が理想か。当然、その点は相手も警戒しているはずだが、ボールを持てるドイツは、日本を押し込む時間が増えると予想できる。つまり前がかりになる時間が多くなり、それに比例して裏のスペースが空く。

 それは日本の左サイドもしかり。三笘薫が1対1を仕掛ければ、何度か相手の右サイドバック、ケーラーを突破することが可能なはずだ。どういう状態で三笘にボールを渡すかということもポイントになるが、日本が誇るドリブラーの力は十分に通用と見る。

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アーリークロスに反応できないドイツ