そのイメージに反して、強気の発言も目立つ。強豪スペインに臨む前、堂安律選手は「ポジティブに捉えれば最高の状況」、「スペインを倒して、(ドイツに勝ったのは)奇跡じゃなくて必然だったと国民の皆さんに思ってもらえるように僕たちは準備をする」と記者団に語っていた。こうした発言に常見さんは「かつての根性論や精神論から出ているものではなく、合理的に勝ち筋を見いだして発言しているのでしょう」とみる。実際、スペイン戦後の田中碧選手も「自分たちがやりたいサッカーかというと、そうではない。ワールドカップを勝つための最善策だった」と語っている。

 常見さんはこう語る。

Z世代は無駄を嫌う傾向があることから、合理的に“腹落ち”させる戦略が重要になってきます。堅守からのカウンターや前線からのプレスなどは、その一例だと思います。森保一監督が若い選手の可能性にかけ、これなら勝てるという戦略を立て、選手の気持ちに火をつけているのだと思います。森保監督の方法論は、仕事でZ世代の部下を持つ管理職にも参考になるのではないでしょうか」

 かつては決定機にパスを出してしまうなど決定力不足が批判されていた日本代表だが、今回ゴールを決めた選手からは、頼もしいコメントが多くみられる。

 スペイン戦で1点目の同点ゴールをあげた堂安選手は「あそこは俺のコースなので。あそこで持てば絶対打ってやるって決めてた。思い切って打ちました」とコメント。同じくスペイン戦で2点目の逆転ゴールをあげた田中選手は「W杯で点を取ることを、ずっと自分の中でイメージしていた。それを実行できてよかった」と振り返った。

 他人と違うことを嫌う、と言われる一般的なZ世代への見方とは大きく異なるように思える。その背景を常見さんはこう推察する。

「Z世代の特徴として、理想を強く持っていることがある。世界の一流選手の得点シーンなどをSNSで見られるので、ロールモデルもたくさんあります。三浦知良選手が日本代表で活躍していたころは海外チームでプレーするのは珍しい時代でしたが、今は普通になりました。それが大舞台での成果につながっていると思います。サッカーに限らず、Z世代は海外経験が多く、高いレベルの教育を受け、高い理想も持っている世代という前提を持ったほうがいいでしょう」

暮らしとモノ班 for promotion
大谷翔平選手の好感度の高さに企業もメロメロ!どんな企業と契約している?
次のページ
自分の権利を主張しつつ「ヨコ」も気にする