日本中に感動を与えた、サッカーW杯カタール大会。一次リーグで強豪ドイツとスペインを撃破。決勝リーグで前回大会準優勝のクロアチアと対戦したが、惜しくも惜敗した。だが、躍進した日本代表の躍進を支えているのは、久保建英(21)、堂安律(24)、田中碧(24)、三笘薫(25)といったZ世代の代表選手。彼らの言動からは、これまでのZ世代とは違う顔が見えてくる。
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Z世代とは、厳密に定義されているわけではないが、おおむね1990年代半ばから2000年代終わりまでに生まれた人たちのことを指す。
一般的に、Z世代の特徴としては「冒険しない」「出世欲がない」など安定志向が強いとされる。BIGLOBEが今年1月に行った「Z世代の意識調査」(18歳~25歳の男女600人を対象)によると、「人と競争するのが苦手」、「周囲から浮かないようにしたい」、「ムダがあることが嫌い」がそれぞれ約70%、「自分の判断に自信がある」が47%だった。
新卒学生の仕事ぶりなどに対して、時にはZ世代に対する厳しい声も聞かれるが、世代論に詳しい千葉商科大准教授で、働き方評論家の常見陽平さんは「Z世代は合理的な努力をし、圧倒的なパフォーマンスを見せることが特徴だ」と話す。
プロサッカーの世界に限らず、現在のスポーツではより科学的、合理的な練習が浸透してきている。SNSで一流プレーヤーのプレーを簡単に見ることができ、自らのプレーを動画に撮り、検証することも可能だ。各選手の運動量などのデータを取り、選手の特徴にあわせて無駄のない練習に取り組んでいるチームもある。
「Z世代の日本代表選手の強みは、最初から世界を視野に入れて、合理的な努力を積み重ねられるところです。ハマればすごい成果も出す。今回活躍している選手たちは、Z世代のフロントランナーと言っていいでしょう。他方で、職場などでハマらなければやる気がなくなってしまうZ世代も多い。フロントランナーとそうではない人の差が大きく出ている印象がある」(常見さん)