知ってほしいのは、新発田の酒蔵のエンタメ感が「ハンパない」ということ。新発田駅から5分ほど歩くと、城下町新発田の中でもひときわ存在感を放つお屋敷風の建物にたどり着く。ここは、新発田のおいしいと楽しいが全部詰まった「体感型"酒蔵"リゾート五階菱」。中に入ると、開放的な空間が広がり、ここでコンシュルジュによる利き酒や試飲、プロジェクションマッピングなどが体験できる。
五階菱を手がける1790年創業の王紋酒造は、4代目がドイツ・フランスへ醸造留学をしたことをきっかけに、西洋的な思想を取り入れた全国でも珍しい酒造。日本で初めて女性一級酒造技能士が誕生したところとしても知られている。王家の紋章をモチーフにした高貴なデザインも特徴だ。
越後、新発田の厳選された地産品がずらりとならぶショップでは、1回400円の酒ガチャがマスト。カプセルをレジに持っていくと景品のお酒に交換してくれる。利き酒体験はみんなでテーブルを囲むスタイルで、3種類の容器から試飲して好きなものを選ぶことができる。日本酒バーでは女性人気抜群の純米大吟醸「かれん」を、そして併設のカフェ「諏訪ノ森喫茶室」ではケーキセットを。五階菱で時間を忘れるほどたっぷり遊んで、さあ、酒蔵へ。
今回訪ねたのは、新発田の酒造のひとつ、菊水酒造。菊水庭園に入ると、枯れ山水の静かな空間と緑に包まれて、心がやすらぐ。明治14(1881)年創業の老舗だが、日本初の缶入り生原酒「ふなぐち」の商品化に成功し、ヴィンテージ販売にも挑戦するなど、昔も今もより良い日本酒の形を追求し続けている。
酒造りの様子は通年で見学可能。一つひとつの過程を説明したパネルがあったり、実際に木の扉を開けて麹室の中を見ることができたり。光、空気、温度を管理し貴重な熟成酒の貯蔵を行う「瓶貯蔵庫」も見ることができる。