ワイナリーに酒蔵、そして蒸留所。日本には、おいしいお酒を造る酒処がたくさんある。最近は、酒造工程を見学できたり、料理とのペアリングを楽しめたり、ホテルやスパを併設したりと、旅のデスティネーションとして存在感を放つ「酒まち」も増えてきた。発売されたばかりのムック「日本のおいしい酒旅」は、そんな注目の酒まちを徹底取材。今回はこのムックから、とりわけ注目度の高いワインの町と日本酒の町を紹介したい。
全国から熱視線!
長野県東御市
千曲川流域は、次々とワイナリーが開業しているエリア。なかでも東信州の東御市は、あたたかな日差しが降り注ぐ日照率の高さでふくよかなぶどうが育つ注目のワイナリータウンだ。
北陸新幹線上田駅からしなの鉄道に乗り換えて、のどかな田畑を眺めながらおよそ10分のところに東御市はある。玄関口となっている明治21(1888)年開業の田中駅は、木造の駅舎が魅力的だ。昨今ワインの町として雑誌などで見かけることが増え、「とうみ」という読み方も浸透してきた。
かつては名馬の産地として有力な武士が活躍し、江戸時代には北国街道の宿場町として発展した。重要伝統的建造物群保存地区となっている「海野宿」には当時の旅籠屋造りや茅葺き屋根の建物が立ち並び、美しい町並みを楽しむことができる。
そんな東御市に降り立って、まず目指したのは「湯楽里館ワイン&ビアミュージアム」。共同浴場やみやげ店が入った湯楽里館の2階にあり、東御市内にある12カ所すべてのワイナリーの情報を得ることができる。
12のワイナリーはショップやレストランも備わる大規模な施設から、家族で営む小規模なものまでさまざま。見学できるワイナリーは限られているので、どのワイナリーに行きたいか、そこは見学できるのか、ここで確かめたい。試飲コーナーでは、ワインだけでなく湯楽里館に隣接する「オラホビール」も味わえる。湯楽里館は丘の上にあって、敷地内からは眼下に東御市や上田市の町並み、遠くに八ケ岳や北アルプスの山々を一望できる。この絶景もお見逃しなく。