■勉強は直接教えず「動画」を通して距離を取る
息子が小学5年となったいま、三浦さんと息子の関係は良好だ。
きっかけの一つが、YouTubeで解説動画を作成するようになったことだ。
「父親である自分が感情を入れずに息子に教えるのは、難しい。でも、理解できていない点を補強してくれるようなサービスはない。だったら、帰宅してから息子がいつでも何度でも見られるよう、自分が動画を作ってみようと考えました」
妻には、動画を一緒に見てもらうよう促した。最初は嫌々見ていた息子も、繰り返し見るようになってからは「わかりやすい」と口にするようになった。
「自分は動画をつくる。だからそれを見て」。そうした関係を続けているうちに、息子の成績も伸びていった。
三浦さん自身も、「明るく、楽しくある」ことに重きを置くよう意識した。たとえば、算数の途中式が間違っているにもかかわらず、不思議と答えが合っていて、子どもが丸をつけているとき。
「『なんで解答を写しているんだ!』と怒鳴ると、誰も幸せになれない。子どもも落ち込み、家庭の雰囲気も悪くなる。たとえダメなことをしても、なるべく明るく伝えるよう努めています。『なぜ途中式が間違っているのに丸がついているのか、一緒に検証してみよう!』と。明らかにダメなことをしても、ギャグに持っていくこともあります(笑)」
一つの方法論でダメな場合は、違う方法を試してみる。管理することが子どもに合わないと感じれば、潔くやり方を変える。息子の成長を見極めながら、やり方を臨機応変に変えていくことの必要性も感じている。
「夫婦ともに、息子に『これやれ、あれやれ』と言わなくなりました。それくらいが健全なのかな、と今は思います。両親がのめり込んでしまうのが一番良くない。子どものために真剣になるのはいいけれど、暴走する必要はない。幸せな受験をしてほしいな、と思います」
昨秋、いくつかの学校の文化祭に赴き、息子が「ここに入りたい」という学校を見つけた。闇雲に上を目指すのではなく、息子自身が校風を気に入った学校を受験してほしいと思っている。(古谷ゆう子)