「お帰りが遅くなる方は折り畳みの傘をお持ちください」など、ここ最近のニュースや情報番組での天気予報は、やたら懇切丁寧に情報を伝えてくれる。ありがたいのは確かだが、この「丁寧化」には理由があるのだろうか? お天気キャスター歴40年の森田正光さんに聞いた。
【写真】いまや大活躍!フジの最終面接で落ちた人気女子アナはこちら
* * *
お天気キャスターが、「厚手のコートでおでかけください」「朝はコートの前を閉めて、お昼ごろからは開けてもいいでしょう」など、とても丁寧に(しかもイラストつきだったり)語りかけてくる。こうした細かい情報伝達について、天気の仕事のキャリア50年以上の森田正光さんはこう話す。
「私は長年ラジオもやっているんですが、現場でご一緒したジャーナリストの方が『傘を持てだとか、服装がどうだとか、アレ、なんとかならないのか』って、いつも言っていたのを覚えています。あんな情報は『必要ないだろう』いうわけです。天気予報とは極端な話、晴れか雨か曇りかがわかればいいんですよね。『傘を持てとかこの服を着ろとか、やれ、温かい服装で出かけろとか言うな』っておっしゃっていて、私に対してもそう思っていらっしゃったそうです(笑)」
現役として、いまもお天気を報じる身として、やたら丁寧な言い方に対する受け手の気持ちも理解しながら、森田さんは続けてこう話す。
「だから、一部の人には、『服装や持ち物まであれこれ言うな』と思う方がいるのもわかります。箸の上げ下ろしをとやかく言われるのが嫌みたいな、パターナリズムに対する嫌悪感はありますよね。『傘をお持ちください』ならともかく、『長い傘で』とか『折り畳み傘で』とか、どっちでもいいでしょ!(笑)ですよね」
そう話す森田さんだが、いつしか天気予報が生活情報も扱うようになったきっかけは、森田さんだったかもしれないという。
「始まりは1983年ごろではないかと思います。当時、私は気象協会というところにいまして、そのときに、テレビ局のプロデューサーの方から『天気で生活情報が欲しい、何か面白いものはないのか?』と言われたんです。それで、洗濯情報というのを考えて、天気予報の中で伝えていきました。それが、天気予報が生活情報となったきっかけだと思います」