日本銀行新総裁候補の植田和男さんは、1951年生まれ、東京教育大学附属駒場高校(教駒、現・筑波大学附属駒場高校=筑駒)の出身。現総裁の黒田東彦さんも同じ学校の出身だ。<前編:意外な共通点 日銀・植田和男総裁“候補”と黒田東彦総裁はともに「教駒=筑駒」出身 から続く>
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社会的に影響力がある大組織のトップを教駒OBが引き継ぐのは、日銀だけではなかった。
早稲田大総長に、2代続けて教駒OBが就任したことがある。白井克彦さん(1958年卒)、鎌田薫さん(1966年卒)だ。
教駒(筑駒)出身の学者はじつに多く、多彩だ。植田さんの同世代には、積極的に発信する元気な学者が多い。
慶應義塾大名誉教授で経済学者の金子勝さんは、経済政策について、1学年上の植田さんとは対極の立場だ。小泉純一郎政権が掲げる新自由主義的経済政策を厳しく追及してきた。教駒出身である大先輩、黒田・日銀総裁を、ツイッターで以下のように厳しく批判していた。
「黒田日銀総裁は、どんどん遠のく2%の物価上昇目標に、必要な場合、マイナス金利の幅を拡大する追加金融緩和を辞さないと述べた。失敗を認めない中央銀行総裁が、弱い銀行を潰しにかかる異常事態です。大麻から危険ドラッグへ」(2016年2月4日)
さらに、金子さんは、教駒で3学年上の新型コロナウイルス感染症対策分科会会長の尾身茂さん(1969年卒)についてツイッターでこう書き込んだ。
「尾身座長のテレビの根拠も学識もない説明を聞くと気が滅入ってくる。PCR検査が先進国最低のまま無策(略)」(2020年5月2日)
金子さんは、教駒時代に同学年だった、東京大名誉教授、医学者、生物学者の児玉龍彦さんと共著『逆システム学―市場と生命のしくみを解き明かす』『日本病―長期衰退のダイナミクス』『現代カタストロフ論―経済と生命の周期を解き明かす』(いずれも岩波新書)を出している。
児玉さんは福島第一原発事故直後にひらかれた国会の参考人説明で、内部被曝研究の見地から、政府の対応を批判し、子どもと妊婦を守ることを最優先にすべきだと、涙ながらに訴えた。また、2020年新型コロナウイルスの感染が拡大した際の日本の対策を失敗と指摘し、なかでもPCR検査を制限したことを批判した。