メジャーを取材するスポーツ紙記者は「MLBとNPBではマーケットの規模が違う」と指摘する。
「スポンサーから入ってくる金額や放映権料のケタが違うので、年俸にも当然反映される。米国ではコロナが収束したのも年俸が高騰した要因です。ただ世界各国の選手たちが集まってくるメジャーで活躍できる選手はごく一握り。活躍できなければ、他の選手にすぐに取って代わられる世界です。NPBより選手層が厚いし、競争もはるかに激しい。メジャーの昨季の最低年俸は約8000万円ですが、マイナーに降格したら大幅に減額されます。メジャーに一度も昇格していない選手の中には、年俸1000万円をもらっていないベテランもいます。どちらのリーグのほうが恵まれた待遇かは一概に言えないですね」
確かに、日本球界のトッププレーヤーたちがメジャーで活躍できる保証はない。特に日本人野手は苦戦するケースが多く、西武で最多安打のタイトルを4度獲得した秋山翔吾は19年オフにレッズにFA移籍したが、20、21年で通算142試合出場にとどまり、打率.224、0本塁打、21打点。昨季は開幕ロースターから外れて自由契約になり、パドレスでマイナー契約を結んでメジャー昇格を目指したがかなわず、シーズン途中に広島で日本球界復帰した。
侍ジャパンの4番を務めた経験を持つ筒香嘉智も米国挑戦4年目の今季はレンジャーズとマイナー契約を結び、スプリングトレーニングに招待選手として参加。厳しい競争を勝ち抜き、メジャー昇格するためには実戦で結果を残すしかない。
スポーツ紙デスクは、「NPBはMLBと3Aの中間ぐらいのレベルという位置づけだと思います。そう考えると選手の年俸はちょうど良いバランスのように感じます。今回のWBCで米国代表の選手たちの推定総年俸は430億円を超えるといわれています。メジャー組を含めた侍ジャパンの選手たちの推定総年俸よりもはるかに多いのですが、勝負事は何が起きるか分かりません。順当に勝ち進めば米国と準決勝で対戦する。一発勝負ですし、NPB組が世界の野球ファンを驚かせる活躍を見せてほしいですね」と期待を込める。
「銀河系軍団」と形容される米国代表を撃破できるか。
(今川秀悟)