10分くらいで歩けるはずだという意見が多かったものの、中には20分くらいかかるのではないかと予想する子もいました。

 距離に関しては、さすがに1キロメートルはなさそうとのこと。はたして、みんなの予想は的中するでしょうか。

「よしっ、じゃあ今からみんなに、今日の作業で使うある秘密兵器を紹介します」

 そう言って、おもむろにウォーキングメジャーを袋から取り出すと、「何それ!?ちょっと見せて!」とたくらみキッズが私の周りに集まってきました。

 ウォーキングメジャーとは道に沿って車輪を回転させながら移動することで簡単に距離を測れる道具です。

 子どもたちのテンションが一気に上がったところで、私たちは教室を飛び出し、鴨川へ向かいます。

 ウォーキングメジャーでの計測作業は、とりあえず切りがいいので、100メートルごとに順番を交代することにしました。他の歩行者の邪魔にならないよう一列で歩くなど注意点もしっかり伝え、早速時間と距離の計測開始です。

 慣れない道具ということもあり、最初は少しフラフラする場面が見られました。

 ただ、たくらみキッズは次第にウォーキングメジャーの使い方のコツをつかみ、順調に計測を続けていきます。

 作業時、次の順番を控える子がもうそろそろかなとメーター部分を後ろから何度ものぞき込む姿がなんとも可愛かったです。

 ちなみに計測の結果は、時間=10分11秒、距離=712メートル、でした!

「またやりたいなあ……」

 教室に戻る途中、誰からともなくつぶやきが漏れました。単なる計測作業も道具一つで楽しくなるのは不思議なものです。

 子どもたちはこれからまち探検を繰り返すなかで、時間・距離感覚をますます研ぎ澄ませていくことになるでしょう。

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○山田洋文(やまだ・ひろふみ)/1975年生まれ、京都府出身。教育家。神戸大学経済学部卒。独立系SIerのシステムエンジニアを経て、オルタナティブスクール教員に。2016年4月、京都市内でプロジェクト学習に特化した探究塾の探究堂(http://tanqdo.jp/)を開校。探究堂代表、認定NPO法人東京コミュニティスクール理事。

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