これは、ヒラメもカレイも普段は海底に腹ばいになって過ごすことから、浮袋がなく、泳ぐ際には他の魚に比べて背ビレと腹びれをしっかり動かさなければならないためです。
特に、水中を素早く泳ぐイワシやアジを捕食しなければならないヒラメのエンガワはとても発達しているんです。
お寿司屋さんで、ヒラメのエンガワというととても高級なネタですよね。エンガワは、1匹の魚から8%ほどしかとれない希少な部位なので高くなってしまうんです。
余談ですが、鯛やハマチなど他の魚にもエンガワはありますが、それらの魚のエンガワはそれほど発達していなくてほとんど他の身と区別できません。
回転ずしチェーンでもエンガワを食べることができますが、基本的にはヒラメのエンガワではなく、カレイのエンガワです。ただカレイと言っても、一般的には北大西洋や北太平洋で取れるカラスガレイやオヒョウのエンガワを使っていることが多いです。
オヒョウは聞き慣れない魚かもしれませんが、大きいものは体長が3メートルにもなる巨大なカレイの仲間です。イギリスの代表的料理のフィッシュ&チップスやフランス料理のムニエルに使われるなど、ヨーロッパではとてもポピュラーな魚なんです。
「なんだカレイかよ」と思ったあなた、そう言わずにぜひ一度食べてみてください。くら寿司ではカラスガレイのエンガワを使っていますが、絶妙な歯応えと程よく脂の乗った味わいに、きっととりこになることと思います。常に人気トップ10に入る人気メニューですので。
※AERAオンライン限定記事
◯岡本浩之(おかもと・ひろゆき)
1962年岡山県倉敷市生まれ。大阪大学文学部卒業後、電機メーカー、食品メーカーの広報部長などを経て、2018年12月から「くら寿司株式会社」広報担当、2019年11月から、執行役員 広報宣伝IR本部 本部長