PTA活動も改革が進んできた。委員会活動は自由参加とするPTAも増えたが、本部の活動や役員選出に悩むところも少なくない
(photo 写真映像部・東川哲也)
PTA活動も改革が進んできた。委員会活動は自由参加とするPTAも増えたが、本部の活動や役員選出に悩むところも少なくない (photo 写真映像部・東川哲也)
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 任意加入が一般的になり、活動も自由参加が広がってきたPTA。改革は進んできたが、最大の難問が本部役員の選出だ。AERA2023年2月27日号の記事を紹介する。

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 かつて多数派だった専業主婦の存在を前提に、「親の義務」と思われてきたPTA。保護者、特に母親たちに負担を強いてきたが、「任意加入が原則」と知られるようになり、仕組みを改める動きが広がっている。最近は各学級からの委員選出をやめ、強制的な仕事の押し付けをなくすPTAも増えてきた。

「感謝の声をたくさんいただいた」と話すのは福島市立庭坂小学校の保護者、鈴木好則さんだ。PTA会長を4年務め、委員会の廃止や会則改正、入退会届の整備などの改革を進めてきた。

 きっかけは鈴木さんがPTA会長になった2019年春、初めて退会者が出たことだった。

■自由参加は時代に合う

 退会理由は、個人の選択の権利を無視した加入方法に対して納得できないということだった。自身もPTAの強制的な側面に疑問を感じていた鈴木さんは退会者の言い分をもっともだと感じた。対応を打診してきた校長に「直さなければいけないのは私たちのやり方のほう」と伝え、改革に着手した。

 会員への周知は丁寧に進めた。「改革の意図が正しく伝わるように説明会を開いてはどうか」という校長のアドバイスに従い、各学年の学習発表会の後に時間をもらって、鈴木さんが直接保護者らに説明を行った。「目的を考えながら自分たちでPTAを創造し、加入・非加入にかかわらず保護者が誰でも安心して学校に関われるようにしていきたい」と話したところ、反応はよかった。深くうなずいて聞く人や、応援してくれる人も少なくなかった。

 その後行ったアンケートでも、改革への賛同の声が多々見られた。「自由参加は今の時代に合っている。全面的に支持する」「時宜にかなった改革案。自発的な精神を基礎に活動を見直そうという方針に賛同する」「画期的な改革。今後はより自由に子どもたちや学校にかかわれる」などのポジティブな感想や、ねぎらい、感謝の言葉が多かった。改革への反対や批判意見もあると覚悟していたが、予想に反して一件もなかった。教員からも「新しいことをできそうでワクワクする」という肯定的な感想が届いた。

 活動を減らす一方、保護者らの思いを吸い上げる場として、誰でも参加できる定期ミーティングも始めた。意見交換のなかで必要な活動が見えてきた際は、実施につなげている。22年度は近隣で野生の目撃情報や被害が増えたため、保護者のつてで専門家を講師に招き「熊対策安全教室」を企画した。児童や教職員に大好評だった。

 順調に改革を進めてきた鈴木さんだが、唯一の気がかりは来年度の役員選出だ。子どもがこの春小学校を卒業するため、会長や役員の後任を3月までに見つけなければならない。会長や役員の負担も大幅に軽減したので、引き受けてくれる人は見つかると考えているが、確定するまではやや落ち着かない。

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