■本部役員がいなければ

 PTA改革を進めても、本部役員の選出に苦労するPTAは珍しくない。委員会活動は希望者がいなければなくすことができるが、本部役員がいない場合はPTA自体を継続できなくなるため、探さざるを得ないのだ。

 関西の公立小学校でPTA役員をする漫画家の宮瀬とまとさんも最近、次年度の役員探しに頭を悩ませた。会員の負担は減らしてきた。年に7回「必ず○名が出席すること」と保護者に要請されてきた講演会は、主催者である市の教育委員会に確認して「希望者のみでOK」と言質を取り、任意で参加するルールに変更した。年に5回あった本部役員会は3回に減らし、参加人数も70人から20人に絞り込んだ。会議で最も時間を割いてきた活動報告はLINEグループで済ませるようにして、集まった際は今後の方針や活動を話し合うことにした。

 防犯パトロールの活動は全家庭に当番を割り振るのをやめ、各自の都合に応じて参加する仕組みを整えた。結果、地域ごとの当番表を作っていた担当者の作業は激減。以前はパトロールのたび学校に足を運ばなければならなかった活動報告は、Googleフォームで代替できるようにしたところ、保護者らは歓喜。顔見知りからも、見知らぬ人からも「ありがとう」の声が寄せられた。

 だが、役員選出に関しては思うように運ばなかった。同PTAはポイント換算による活動ノルマを設定している。少しでも強制を減らそうと、今年度はノルマをゆるめ、選出用紙に「無理をせずにご参加ください」と明記したところ、役員を引き受ける人が誰もいなくなってしまった。宮瀬さんは「まだ役員の負担は大きいイメージが強いので、ノルマをゆるめるのは早かったかもしれない」と悔やむ。その後、関係者の声かけで次期役員はなんとか決まったものの、来年度はどうするか、また考え直さねばならない。(ライター・大塚玲子)

AERA 2023年2月27日号より抜粋

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