新鮮な地魚が手に入る地方の強みを生かした、独自の仕入れルートを持つ地方発の回転寿司店が人気だ。現地でしか食べられなかった味を東京で味わえると都内でも好評だという。
* * *
年間あたりすしにかける金額が全国トップの金沢市に本店を構える、金沢まいもん寿司は、その金沢で「うまい」と話題になり、多地域に進出を果たした。土日や休日は昼間から長蛇の列ができる。評判を聞きつけ、県外から訪れる客も多い。まいもん寿司を運営するエムアンドケイ社長の木下孝治さんは言う。
「『安かろう悪かろう」ではなく、安心のネタで職人が握ったほんものを家族と食べてほしいというのが原点です」(木下さん)
元は建築関係の仕事をしていたが、全国一のシェアを誇る回転寿司レーンの社長と知己を得て、回転寿司事業に乗り出した。店内の設えは、いかにも金沢的で雅だ。狙いは当たり、現在、石川県に3店舗、東京には上野と二子玉川の2店舗のほか、7月16日には三軒茶屋に、11月には渋谷に新店舗をオープンする。年内に海外進出も準備中など、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いだ。
漁港ならではの感動を味わえる回転寿司は、都内にまだある。北海道からは、函太郎やトリトンなど、様々な人気店が進出を果たしている。なかでも躍進目覚ましいのが、インバウンドからも高い人気を得ている根室花まるだ。6年前、東京丸の内のKITTEに進出、3年前には東急プラザに銀座店をオープンした。銀座店店長の黒澤賢太さんは言う。
「地元の漁師しか知らない情報をもとに、仕入れはすべて商品テストをしてから買い付けています。今の時期なら、ほや、そいや時しらず、冬は真鱈や白子がおすすめです」(黒澤さん)
同店は、すし店も展開している。なぜ、東京進出にあたり回転寿司を選んだのか。
「ルーツが回転寿司にあるからです。回転寿司はレーンで実物を見て、新しいネタと出合い、選ぶ楽しみがある。ぜひ皆さんに体験してほしい」(黒澤さん)
産直ネタの手応えは抜群だ。
「『ホタテってこんなにおいしいの』『今まで食べていたウニはなんだったの』、と喜んでくださるお客様が多いですね」(黒澤さん)
渋谷ヒカリエにある回転寿司、まぐろ問屋三浦三崎港 恵みは、まぐろ卸問屋の三崎恵水産が母体だ。売りは、なんといっても三崎で一頭買いするまぐろだ。まぐろホホ肉や頭身などまぐろの希少部位もある。めばちまぐろの赤身は190円から味わえる。
店内は、高級すし店のようなカウンターとボックス席がある。場所柄、家族連れはもちろん、終業後に連れだって飲みに来る会社員も多いという。
夏にぴったりという塩漬けまぐろやまぐろ三点盛りなど、まぐろを堪能していると、期間限定メニューに気付いた。なんと、創作寿司まであるではないか!