「和洋テイスト紅白寿司」(8月4日までの期間限定)は、店長の矢後潤一郎さんが考案したという。出てきた握りは見た目も美しく、塩レモンジャムとミントのハーモニーが新鮮で……と、ついつい食レポをかましたくなる。
申し遅れたが、私は白えびの産地、富山で生まれ育った人間。すしには一家言持っているつもりだ。懺悔するならば、東京のすしを見くびっていたところもある。だが、今回東京で味わった3店舗の回転寿司は、三者三様うまかった。
まさか、これほどのレベルで地魚を味わえる回転寿司がほかにもあるのか。
回転寿司評論家の米川伸生さん(52)は言う。
「続々と地方進出を果たしていますよ。6月27日には、神奈川発の独楽寿司が八王子に出店した。東京から最も近い漁港は相模湾。輸送時間も少なく済み、朝獲りの魚をその日に食べられます。プレオープンに駆け付けましたが、鮮度は抜群でした」(米川さん)
独楽寿司にはちょっと変わったサービスもある。500円でアルコールが飲み放題なのだ。
「高尾にある宇和島発のすしえもんなら、真鯛。都内でこれほどの鯛はそうそう食べられません。東海地区限定ですが、魚魚丸という回転寿司店もあります。アワビやイセエビが目玉で、まぐろ解体ショーや藁焼きショーなど、エンターテインメント性も抜群です」(米川さん)
このほか、9月には宮崎から寿司虎が二子玉川に進出予定だという。
なぜ、いま、これほど地方発の回転寿司が熱いのか。
「すしは、あらゆる世代にとってごちそうです。シャリを機械で供する店もありますが、大人の舌はなまなかには満足しない。店で魚をさばき職人が握るなど、オペレーションを変える店も増えました。今後差別化がいっそう進むと思います」(米川さん)
大人も唸らせる回転寿司の進撃を歓迎したい。(ライター・瀬波充)
※AERA 2019年7月29日号より抜粋