このときは最終的に、「2年間は実業団の大会に出場しない」という条件で旧所属先と移籍先が合意し、移籍した。日本選手権には出られたが、実業団選手の檜舞台・ニューイヤー駅伝には2年間出場できなかった。
「それでも受け入れてもらえたのは幸運です。でも、当時は駅伝で活躍するのが大きな目標。脂がのっている時期だけに、とても悔しい思いをしました」
2度目の移籍は26歳のとき。慕っていた監督がチームの内紛で退部することになり、自身も移籍を申し出た。しかし、新監督や陸上部長は認めなかった。
「何度出向いても、“円満は出さない”の一点張りでした」
退部証明書はもらえなかった。結局、強行退部して、実業団連合非加盟で“円満”が必要ないクラブチームに移籍した。
「移籍が必要な場面はあります。でも、今はどんな理由があろうと“ダメなものはダメ”で終わり。選手のほうを向いた制度に変わってくれれば……」(同選手)
実業団連合は昨年末、制度について、会長名義で「真摯に(見直しの)検討を始めたい」との声明を出した。しかし、「問題があるかも含め、今後検討する」段階で、道筋は見えない。
陸上競技発展のためにも、少しでも早い制度改正が必要だ。(編集部・川口穣)
※AERA 2019年2月11日号
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