出展者の一人、北海道在住のコンビニ店員・北川和輝さん(20)はツイッターでイベントを知った。1週間で描き上げた絵のタイトルは「晴れた日」。
「児童相談所から施設に移動した日に見た空が、とても晴れていたんです」
母親はシングルマザーで、4人きょうだいの父親は全員違った。貧困に苦しみ、食事もままならない。ガスや水道も止まり、市の福祉課の調査が入り、小学1年生で児童養護施設に移された。高校3年生までをそこで過ごしている。
施設には自身と同様、親からの虐待が原因で入所している人が多かった。そうした実態を少しでも知ってもらうため、絵を描こうと決めたという。
高校を卒業し就職した北川さんは、再び母親と暮らしている。施設に移された当時、生活を立て直そうと母親が生活保護を申請したことを知った。市の職員は母親に対し、
「あなたはまだ若いし、体を売ってでも働けるでしょ」
北川さんはこう話す。
「初めて子どもができたときは、親としての教育を受けられればいい。経済的な格差が広がるなか、行政や地域で見守る体制が欲しい」
(編集部・澤田晃宏)
※AERA 2019年1月28日号より抜粋