※写真はイメージです。本文とは関係ありません
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 モモエさんが生まれ育った地域では、地縁と血縁が強い。適応すればそれはそれで楽なのかもしれないが、モモエさんのように疑問をもつと途端に息苦しくなる。でも、自分ひとりがその息苦しさを訴えたところで、変わるものではない。モモエさんの淡々とした口調には、あきらめの色が混ざっている。

 地縁と血縁は、しがらみになりやすい。

「私が育った家では、プライバシーの概念というのがまったくなかったんですよ」と話してくれたのは、30代のアリサさん。現在は東京在住だが、山陰地方に生まれ育った。

「うちは祖父母も親族もみんな県内にいるのですが、しょっちゅう電話し合っては、母が『アリサが学校でこんなことしてね』『先生にこんなことを言われてね』と何から何まで話すんです。子どもながら、自分のことを勝手に言いふらされることに強い反発を覚えました。よかれと思ってなんでしょうけど、自分は世間話のネタでしかないんだと感じられたし、母親同士の集まりなど家族以外にも私のことを話しているのではないかと不安になって。結果、自分のことを一切知られたくないと思ってそれが態度にも出ていたので、親からすれば秘密主義の困った子どもに見えていたと思います」

 30代のレナさんも同じく、生まれ育った東海地方でプライバシーのなさに苦手意識を感じていた。

「ご近所のあの子はどこの大学に行ったとか、あそこのうちの長男は仕事を辞めたらしいとか……。それを知って何になるんだろう、と思いますね。その噂になっている人のことを私はよく知らないし、興味もない。それでも耳に入ってくる煩わしさがありました」

 口さがない人は、どこにでもいる。しかし地方でこうしたことがより起きやすいのは、同質性の高いコミュニティーでは、ひとりの情報をその他全員で共有することがよしとされる傾向があるからだろう。そして、自分の周囲はすべて同質だと思っているからこそ、学歴や職業、婚家といった“違い”が話題になりやすい。

 加えて、コミュニティーが小さく、それでいて密であるためにこんなことも起きるという。

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