【資さんうどん】うどんはもちろん店内にある釜で煮込まれているおでんやレジ横で買えるぼた餅も人気。魚町店・一枝店は焼うどんの提供がないので注意/http://www.sukesanudon.com/(撮影/江藤大作)
【資さんうどん】うどんはもちろん店内にある釜で煮込まれているおでんやレジ横で買えるぼた餅も人気。魚町店・一枝店は焼うどんの提供がないので注意/http://www.sukesanudon.com/(撮影/江藤大作)
【サンドイッチファクトリーOCM】店内にあるテーブルやイスも創業時のままだそう。2種類選んだ具のうち値段が高い方がそのままサンドイッチの価格となる。昼時や週末は行列必至/住所:小倉北区船場町3-6 近藤別館2F(撮影/江藤大作)
【サンドイッチファクトリーOCM】店内にあるテーブルやイスも創業時のままだそう。2種類選んだ具のうち値段が高い方がそのままサンドイッチの価格となる。昼時や週末は行列必至/住所:小倉北区船場町3-6 近藤別館2F(撮影/江藤大作)
【たちばな】ぬかだきの味は通常と辛口タイプの2種類ある。より日持ちする真空パックのぬかだきも販売されているので、お土産にも便利だ/住所:小倉北区魚町4-1-15 旦過市場内(撮影/江藤大作)
【たちばな】ぬかだきの味は通常と辛口タイプの2種類ある。より日持ちする真空パックのぬかだきも販売されているので、お土産にも便利だ/住所:小倉北区魚町4-1-15 旦過市場内(撮影/江藤大作)
【本店 鉄なべ】熱々の鉄なべがテーブルに直置きされて驚くが、テーブルには鉄なべ用に鉄板がはめ込まれている仕様。店は予約不可なので気をつけて/住所:八幡西区黒崎1-9-13 宮本ビル1F(撮影/江藤大作)
【本店 鉄なべ】熱々の鉄なべがテーブルに直置きされて驚くが、テーブルには鉄なべ用に鉄板がはめ込まれている仕様。店は予約不可なので気をつけて/住所:八幡西区黒崎1-9-13 宮本ビル1F(撮影/江藤大作)

 福岡といえば、ラーメン、水炊き、もつ鍋──。いえいえ、それは博多の話。キタキューには、製造業の街として発達した独自の食文化がある。

【北九州の絶品ソウルフードの写真はこちら】

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 昔も今も、小倉の若者が集う人気の店・サンドイッチファクトリーOCMが、今年創業40周年を迎えた。メニューは創業時からほぼ変わっておらず、17種類の具から2種類を好きに組み合わせるスタイルだ。人気はオリジナルと呼ばれる特製の鶏ミンチを使ったミートソース風ソース。オリジナル&チキンの組み合わせは「これしか注文しない!」という人もいるほど。また、フルーツとたっぷりの生クリームを和え、デンマーク産のクリームチーズを合わせたフルーツ&クリームチーズもぜひ味わってほしい組み合わせだ。サンドイッチに使われているパンは、こちらも老舗、シロヤベーカリーのイギリスパン。ふわふわでほんのり甘いパンを使った絶品サンドイッチは北九人が秘密にしたい青春の味だ。

 一方、ご当地グルメとして全国的な知名度を誇るのが、小倉発祥焼うどん。なかでも、同じ焼うどんのようで実は独自の味を追求しているのが、地元では馴染み深い資(すけ)さんうどんの焼うどんだ。資さんうどんはその看板を見ると「北九州に帰ってきたな」と感じる人もいるというほど、北九州ではメジャーなうどんチェーン店だ。資さんの焼うどんは鉄板にのっていて、アツアツもちもちの麺に甘口のソースが絡む。麺のかたわらに目玉焼きが添えられるのが特徴だ。一緒に提供される焼うどん用のふりかけを好きなだけかけ、テーブル備え付けの天かすをたっぷり入れて食べよう。ふりかけは、魚粉をベースにしたオリジナル。白ごはんにかけて食べるのもおすすめだ。

 北九州を代表するグルメでもうひとつ忘れてはいけないのが、ぬかだきだ。かつて、ぬか床を持っている家庭ではどこでも作られていたというぬかだき。イワシやサバをぬか床のぬか味噌で炊いた、北九州の郷土料理だ。江戸時代、小倉城主が広めたともいわれるぬか床。現代の家庭ではぬか床を維持することが難しく徐々に姿を消すなか、ぬかだきは家庭の味から店の味へと変化した。北九州市民の台所、旦過(たんが)市場に店を構えるたちばなのぬかだきは6時間かけて大鍋でじっくり炊いた甘口のぬかだきで、骨まで食べられるほど軟らかい。お土産にと買い求める観光客はもちろんだが、平日は、毎日1切れ買いにくる常連客や晩のおかずに買っていく客などの地元客が多いそう。多めに入れてある砂糖のおかげで、日持ちするのも嬉しいポイント。贈答用の需要が増える年末は、大鍋が1日に2~3回転するほど大量のぬかだきが炊かれる。

 北九州発祥のグルメのなかでも意外と知られていないのが、今や福岡名物として広く人気となった鉄なべぎょうざだ。今年で60周年を迎える北九州の「本店 鉄なべ」は、丸い鉄の平鍋にのった焼きたてのぎょうざを提供する鉄なべぎょうざ発祥の店。現在JR黒崎駅前に店を構えるが、現店主の宇久知紀さんの母・温子さんが鉄なべぎょうざを考案した当初は、JR折尾駅前にあったのだそう。昭和50年代に折尾駅前から現在の黒崎駅前に移転。以来、この地で鉄なべぎょうざの味を守り続けている。薄皮で小ぶりなぎょうざは、あっさりと優しい味でいくつでも食べられる。その味の秘密は、キャベツに長ネギとニラ、豚肉、そして牛肉を少し入れること。牛肉のおかげで深みのある味に仕上がるのだ。現在、厨房でぎょうざを焼くのは、店長の久冨陽介さん。「多い日で1日に1500個ほど出ることもある」といい、4世代にわたって通う常連客もいるほど地元に愛されている。

AERA 2018年12月3日号