接客部門のスペシャリスト、小野瀬純愛さんはまだ高校生。2022年、高校に入学してすぐにローソンでアルバイトを始めた。専門的な知識・スキルを身につけたクルーを認定する資格「ファンタジスタプログラム」を知り、「おもしろそうだな」と思ってチャレンジ。最初にMACHI café部門でファンタジスタとなり、翌年には、接客・ファストフーズ・まちかど厨房を合わせて4部門すべてでファンタジスタに。MACHI café部門ではさらに上の各エリアの代表「グランドファンタジスタ」となって、そのスキルを競うコンテストの東北大会に出場した。
「東北大会では緊張して発表が全部早口になっちゃった。それで『また挑戦したい。私の長所は何だろう、何ができるんだろう』と考えて、『ニコニコの笑顔と手話を生かせる接客だ』と思ったんです」
手話を勉強し始めたのは中学3年生のとき。難聴を患った友だちとおしゃべりするためだった。高校は離ればなれになってしまったけれど、その後もひとりで勉強を続け、日常会話レベルの全国手話検定3級を取得。
「耳の不自由なお客様が来店されたときに、指差しシート(レジ袋の有無などを指差しで確認できるシート)を使いながら手話で『ありがとう』と話したら喜んでいただけて、次の日も買い物に来てくださったんです。『今日は寒いですね』と話したら、マスク越しでもわかる笑顔を見せていただけて、感動しました」
今では、ローソン郡山駅前店は「手話のできるクルーがいる店」として界隈に広まりつつあるという。
![手話で「いらっしゃいませ」。いつもニコニコの笑顔で迎える小野瀬さん。](./img/03_photo-1.jpg)
手話で「いらっしゃいませ」。いつもニコニコの笑顔で迎える小野瀬さん。「どれだけワクワクしながらできるかが、仕事を続けていくための秘訣だと思っています。ローソンでの仕事を毎回楽しんでいます」
![この店から全国へ。お客様をハッピーにする接客を広めたい](./img/03_txt.png)
困っている人がいないか
「よく見ること」を意識
目の不自由なお客様が来店した際には、おつりがトレー上のどこにあるか時計にたとえて知らせるクロックポジションを使って「6時の位置にありますよ」と示して驚かれたという。こうすると視覚障がい者に伝わりやすいということは、自発的に本で調べて知ったそうだ。
勉強熱心で、関心を持ったらとことん突き詰めるタイプ。そして、どこかに困っている人がいないか常にやさしいまなざしを向ける。それは通っていた小学校に特別支援学級があり、ふれあった経験が原点となっている。以来、子ども食堂の手伝いなどのボランティアにも積極的に参加してきた。ローソンでの仕事においても「すべての人が、ほっとできる店にしたい」という思いが強い。
「駅前の店舗なのでさまざまな方が来店されます。接客で意識しているのは、お客様をよく見ること。例えば常連のお客様のことは覚えて『いつものコーヒーですよね?』と、積極的に声をかけています。お客様だけでなくクルー同士のつながりも世代を超えていて、学校ではできない経験ができる。社会に出る練習にもなっていると感じています」
「純ちゃんなら大丈夫」
みんなの応援のもと全国大会へ
振り返ればアルバイトを始めて1年も経たない頃、「ほしい商品がない、いつ入荷するのか」とお客様から強めの口調で質問されたことがあった。当時は頭が真っ白になって何も答えられず、他のクルーに助けてもらった。そんな小野瀬さんが、2024年、高校3年生で接客部門のグランドファンタジスタとなった。そして東北大会を突破し、全国大会へ。
「緊張はしませんでした。会場に向かう新幹線で爆睡していたくらい(笑)。だって、絶対1位になれると思っていたから。みんなも『頑張って』ではなく『純ちゃんなら1位を取れるよ』と言ってくれたので『じゃ、大丈夫だな』って。ローソンクルー専用のコミュニティアプリで出場を報告したら、全国のクルーからも応援してもらえて、『私も出場します。お会いしましょう』と声を掛けてもらって、楽しみという気持ちのほうが大きかったですね。実際、会場で仲良くなったクルーが何人もいます」
![店内にはオーナーが制作した「全国大会1位」の横断幕が。「お客様の『ありがとう』の言葉が励みになります」](./img/03_photo-2.jpg)
店内にはオーナーが制作した「全国大会1位」の横断幕が。「お客様の『ありがとう』の言葉が励みになります」
全国大会では各エリアから選抜されたクルー約50人が集結。勤続年数の長いベテランクルーも多く、誰もが素晴らしい接客プレゼンテーションを見せるなか、小野瀬さんはひと際異彩を放ち、見事、接客部門の頂点に輝いた。
「以前は自分の接客でお客様をハッピーにさせたいと思っていました。全国1位になってからは、自分だけでなく店全体で取り組んでいきたいと思うようになり、他のクルーさんにも接客について教えたり、簡単な手話を教えたりしています。この店を起点に全国に向けて、お客様にハッピーになっていただく接客を広めていきたいです」
将来は、自分と同じように接客を愛する人材を育てることに関心があるのだそう。この春、小野瀬さんは高校を卒業し、未来に向かって羽ばたく。
「たまに夢の中でも仕事しています。それくらいローソンが大好き!」