石川三知(いしかわ・みち)/Office LAC-U代表。山梨学院大学非常勤講師。八王子スポーツ整形外科栄養管理部門ディレクター。近著に『決して太らない健康なカラダに!食の法則1:1:2レシピ』(撮影/写真部・片山菜緒子)
石川三知(いしかわ・みち)/Office LAC-U代表。山梨学院大学非常勤講師。八王子スポーツ整形外科栄養管理部門ディレクター。近著に『決して太らない健康なカラダに!食の法則1:1:2レシピ』(撮影/写真部・片山菜緒子)
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ある日のお弁当。おかずは鶏つくねのハンバーグ風など(撮影/写真部・片山菜緒子)
ある日のお弁当。おかずは鶏つくねのハンバーグ風など(撮影/写真部・片山菜緒子)
事務所でスタッフが作ってくれたある日のランチメニュー(撮影/写真部・片山菜緒子)
事務所でスタッフが作ってくれたある日のランチメニュー(撮影/写真部・片山菜緒子)

 アスリートにとって食事は、高いパフォーマンスを発揮するための重要な要素のひとつ。そんなアスリートの食事を支えてきたスポーツ栄養アドバイザーの石川三知さんが、選手の体をつくる食事の裏側を明かした。

【写真】栄養バランスが考えられたお弁当

オリンピックなどで活躍するトップアスリートを何人も食事指導してきたスポーツ栄養アドバイザーの石川三知さん。彼らのパフォーマンスを上げる食事とは何なのか。

「何よりも“栄養素の構成”を重視します。栄養効率が大切だからです」

 栄養効率とはどういうことか。

「栄養はチームでしか働きません。例えば、骨はカルシウムだけでできているのではなく、網状のタンパク質にカルシウムや他のミネラル・ビタミン類が加わって強い骨がつくられる。そういう相互作用が大事なのです」

 ご飯やパンなどの糖質(炭水化物)も、野菜、海藻、きのこ類に含まれるビタミンやミネラルの働きがあってこそエネルギーとして使い切れる。一方、ビタミンやミネラルの量が足りないと、糖質がエネルギーとして使われず、余ったものが体脂肪などになってしまう。だからこそ、効果的に栄養素を組み合わせて摂取することが必要だ。大切なのは、いかに「体をつくるシステムとして食を捉えられるか」なのだという。

 それを石川さんは分かりやすく「1(主食):1(主菜):2(副菜)」という比率で考えている。これは、フィギュアスケーターの高橋大輔選手の食事を指導していた5年間で導き出した数字だという。

むくみやすく、体脂肪も増やしたくないと悩んでいた高橋選手のために石川さんは、毎週作り置きの食事を用意した。試行錯誤の末「1:1:2」を基本にしたメニューで、体重維持やむくみ解消だけでなく「食後すぐに動ける体になった」という。

「高橋さんが自分の体と向き合いながら、栄養が効率よく働く組み合わせを実践し続けてくれたことが大きいですね」

 石川さん自身の悩みと言えば、出張などで食事もままならないことが少なくないこと。そんな日の前後には、自宅でなるべく多くの食材をとるよう意識しているという。特に効率がいいのはスープや味噌汁だ。トマトやベーコン、レタス、切り干し大根、だしを取った昆布、カボチャなど「具材は無尽蔵です」。

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