子どもの皮膚は薄く、バリア機能が発達途中のため、大人に比べて皮膚トラブルがよく起こります。つい大人の肌と同じようにあつかってしまうと大きなトラブルになることも。近畿大学医学部皮膚科学教室主任教授の大塚篤司さんが夏に多い子どもの肌トラブルと、親が勘違いしやすいポイントを教えてくれました。

MENU 夏の皮膚科外来は戦場状態 夏に急増する子どもの肌トラブル 親が特に勘違いしがちな5つのポイント こんな時は迷わず受診を

夏の皮膚科外来は戦場状態

 毎年6月から8月にかけて、私たち皮膚科医の外来は一気に混雑します。特に子どもの患者さんの数は、春の3倍近くに増加することも珍しくありません。連日「あせもができて」「虫に刺されて腫れて」「とびひになった」といった相談で、待合室は子どもたちとその保護者でいっぱいになります。

 しかし、診察をしていると「もっと早く来てくれれば良かったのに」というケースが数多くあります。多くの場合、親御さんの皮膚に対する知識不足や思い込みが原因となっています。

夏に急増する子どもの肌トラブル

 1)あせも(汗疹)

 夏場の肌トラブルの代表格です。汗の出口が詰まることで起こる炎症で、首回り、脇の下、おむつ周りなどの蒸れやすい部位に多発します。

 親の勘違い:「あせもは放っておけば治る」「ベビーパウダーをつければ良い」

 正しい対処:まずは汗をかかない環境づくりが重要です。こまめに汗を拭き取り、通気性の良い衣服を着せましょう。ベビーパウダーは毛穴を詰まらせる可能性があるため、推奨されません。

 2)虫刺され

 蚊、ダニ、ブヨなどによる虫刺されも夏の定番です。子どもは大人より反応が強く出やすく、掻きむしって二次感染を起こすケースも多いです。

 親の勘違い:「虫刺されくらいで病院に行く必要はない」「市販薬で十分」

 正しい対処:広範囲に腫れている、発熱がある、膿が出ているなどの場合は迷わず受診してください。また、掻かないよう爪を短く切り、冷やしてかゆみを和らげることが大切です。

3) とびひ(伝染性膿痂疹)

 あせもや虫刺されを掻きむしった傷から細菌が入り込んで起こる感染症です。水ぶくれができて、それが破れて広がっていきます。

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大塚篤司
近畿大学医学部皮膚科学教室主任教授 大塚篤司

大塚篤司(おおつか・あつし)/1976年生まれ。千葉県出身。医師・医学博士。2003年信州大学医学部卒業。2012年チューリッヒ大学病院客員研究員、2017年京都大学医学部特定准教授を経て2021年より近畿大学医学部皮膚科学教室主任教授。皮膚科専門医。アレルギー専門医。がん治療認定医。がん・アレルギーのわかりやすい解説をモットーとし、コラムニストとして医師・患者間の橋渡し活動を行っている。Twitterは@otsukaman

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