激戦区となった衆議院千葉5区(市川市の一部、浦安市)の補欠選挙は自民党公認、公明党推薦の英利アルフィヤ氏(34)と立憲民主党公認の矢崎堅太郎氏(55)が激しく競り合っている。英利氏は7カ国語を話し、元国連職員という異色の国際派で、小泉進次郎元環境相、岸田文雄首相、茂木敏充幹事長、猪口邦子元少子化担当相ら大物議員が続々と応援に入った。一方の立憲の矢崎氏は18日、お隣の船橋市が地盤の野田佳彦元首相と早朝6時から駅頭で一緒にビラ配り。「そもそも補欠選挙となったのは、自民党の薗浦(健太郎)氏が政治資金パーティーの収入を過少記載し、議員辞職したため」(矢崎氏)と、「政治とカネ」の問題に照準を合わせていた。
【写真】小泉進次郎氏の手を握る英利アルフィヤ氏など激戦千葉5区ルポ
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選挙区情勢で、英利氏と矢崎氏のどちらがリードしているか、報道機関によって情勢調査の結果が異なる。朝日新聞は15日、「互角」の戦いと報じたが、英利氏が10ポイント以上リードと報じたメディアもあり、入り乱れている。
英利氏の両親は中国・新疆ウイグル自治区出身で、父親はウイグル系日本人、母親はウズベク系日本人。英利氏本人は福岡県北九州市で生まれ、1999年に家族で日本に帰化した。
米国ジョージタウン大を卒業後、同大外交政策大学院に進み、修士課程を終了。日本銀行を経て、国連で勤務した。
昨年7月の参院選で、自民の全国比例の候補として出馬するために国連を退職。5万4千票を獲得したが落選した。今回は千葉5区補選の公募に応募し、72人の中から英利氏が選ばれた。
いわゆる「落下傘候補」で苦戦が予想されるだけに、党の“応援”は手厚い。11日の出陣式には自民党の茂木幹事長が駆けつけたほか、岸田首相は15日に和歌山の演説先で爆破事件に遭遇したにもかかわらず、当日夕方、千葉5区に入った。厳戒体制の中、20分弱の応援演説をした。17日には、千葉県浦安市の東京メトロ東西線・浦安駅前の街頭演説に、横須賀から小泉氏が応援に駆けつけた。
7カ国語で国際派強調
小泉氏は演説カーや台には立たず、路上に立ったままマイクを握った。
「私も、地元の横須賀市も、市会議員選挙など大切な統一選挙をやっている中ですが、自分の地元の選挙を抜けてでも、何とか勝ってもらわなきゃ。勝たせたい。そういうふうな気持ちにさせるのが、今、この選挙、大激戦を戦っている英利アルフィヤ候補です。英利候補は今までの自民党の中の議員とはひと味違う、新しい力、新しい魅力を持っている議員になろうという挑戦をしています」
と言う。