この日、応援演説に来ていた自民党の猪口氏に聞くと、
「岸田首相が15日当日に来たのは勇気ですよ。自分の身がどうなってもですよ」
一部メディアからは、議員辞職した薗浦氏がいずれは衆院に復活し、英利氏は当選しても一時つなぎで、猪口氏が退任した後釜で参院にまわるといった報道もあったが、当の猪口氏にそのようなことがあるのかを直撃すると、「私は総理になるまで辞めませんよ」と笑みを浮かべた。
元首相“早朝”のビラ配り
一方、立憲の矢崎堅太郎氏。
18日午前6時、東西線・妙典駅前で野田元首相と合流し、駅前で2人揃って、通勤、通学する人たちにビラを渡していた。
矢崎氏は駒澤大学法学部政治学科を卒業後、富士(現みずほ)銀行に入行。法人融資担当として16年間、多くの中小企業に寄りそう。2007年千葉県議選に初当選。それから4期15年地元で県会議員をしてきた実績をアピールする。21年10月、千葉5区の衆院選挙に出馬して、薗浦氏に約4万2千票差で敗れた。
矢崎氏は街頭演説で、
「今回の補欠選挙がなぜ起きたのか思い出していただきたい。自民党の方が自ら開いた政治資金パーティーのお金を、収支報告書に約4千万円少なく記載していた結果、辞職をされました。こうした政治とカネの問題に共通しているのは権力に近い人たちがそのおごりの中で不正をしてお金を得るということが繰り返されてきました」
と声高に「政治とカネ」の問題を批判した。
そんな矢崎氏に、野党が立憲、維新、共産、国民民主がそれぞれ候補者を立て、乱立状態になっていることについて聞くと、
「普通に考えたら厳しいですね。前回の衆院選よりは反応はいいけれど、こっちがよくても自民がそれ以上によかったらどうしようもないですからね」
早朝から一緒にビラ配りをした野田元首相は、隣の船橋市が地盤だ。
「今日だけではなく昨日も来てくれています。今週もあと2回くらい私のために応援に来てくれる予定です。私が県会議員の時からのつきあいですから」(矢崎氏)
矢崎氏を知る人によると、「矢崎さんは温厚な人」という。
最後に、朝6時からの駅頭活動を終えた野田氏にも聞くと、
「政治とカネに端を発する選挙です。そこに大きな経費をかけて補欠選挙をやるわけですから、千葉5区に関しては税金の無駄遣いですね。だからこそ、絶対負けちゃいけない。自民党にお灸を据えるための選挙だと思っています」
投開票は4月23日。千葉5区の補選にはこの他、維新が前回衆院選に茨城3区で出た岸野智康氏(28)、共産が元衆院議員の斉藤和子氏(48)、国民民主が浦安市議の岡野純子氏(44)、政治家女子48党の元信用金庫職員・織田三江氏(41)、無所属で元市川市議の星健太郎氏(43)の7人が立候補している。
(AERA dot.編集部・上田耕司)