──ただ、勝ち負けを決めないと平和は訪れないと考えている政治家たちもいます。

 力で平和を維持しようというのは、大きな間違い。私がゴリラや類人猿から学んできたのは「勝てば勝つほど孤独になっていく」ということです。相手は、自分に対してへつらってくれるけど、尊敬してくれているわけではありません。常に力を行使していないと自分の権力が守れない。そういう社会は、非常にギスギスして生きづらい。それは、平等より勝ち負けを優先するサルの社会に非常に似ています。現代の人間社会は、サル化し、自分の利益のために集団をつくるサル社会に突き進んでいるように私には見えます。

――人間社会で戦争をなくすことは可能だと思いますか?

 それがゴリラに学ぶことです。そのためには死者の言葉を捨て、身体で触れ合うことです。最近ではイスラエルとパレスチナの高校生が他の国で一緒に勉強やスポーツをしたりしています。身体の感覚で付きあうことができれば、同じ人間であることを納得しあえるはずです。

 世界はそろそろ暴力とは別の手段で争いを解決すべきです。他の者から学ぶのは人間だけが持つ能力。ゴリラに学んで、争いのない世界にできると私は信じています。

(構成/編集部・野村昌二)

AERA 2018年3月19日号より抜粋

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