税金や法律などさまざまな専門知識が必要な相続。しっかり家族で話し合い、対策をとっているだろうか? どう準備を進めていけばいいか、専門家にチェックリストを作成してもらった。
【残された家族の気持ち つなぐ遺言に】
佐山和弘行政書士
さやま法務コンサルティング(愛知県東海市)
1966年、愛知県東海市生まれ。前職はすし職人。遺言者が涙し、公証人もうなる遺言書起案のスペシャリスト
□祭祀承継者(墓守り、仏壇の世話等をする人)を決める
□介護(認知症になった時のこと)について。両親の希望=誰にどこで(在宅or施設)、世話をしてほしいのか、誰が世話できるか、介護費用の出どころ、介護しない子の協力態勢
□最期の過ごし方。尊厳死or延命治療、どこで死にたいか(病院・施設・在宅)、呼んでほしい人・ほしくない人、臓器提供・献体の希望の有無
□権利証、年金証書等の保管場所。死後家族が捜さなくていいように!
□遺言書案を確認。関係者のガス抜きをしておく。死後初めて見るとビックリ箱でモメやすい。遺言書を「今年の遺言書を発表します!」と毎年書き換えながら披露する人もいる
□財産のストーリー。相続を「おいしい!」「ラッキー!」と思わせない。相続財産は相続人にとっては棚からぼたもちのあぶく銭。かえって身を滅ぼさないよう財産の重みを伝える。「身を粉にして働いて貯めたお金なんだ」など
□準備物が大事。財産目録(メモ書きでもいい)
□人脈と知恵。「いざという時にはこの人を頼れ」「こいつには気をつけろ」「ピンチの時はこうして乗り切った」など
□覚書として署名捺印。言った言わない防止。法的効力はないが、署名捺印という行動が心理的な良い意味の縛りをかけられる
□相続人の意思決定に影響を及ぼす人なので、あえて嫁や婿も呼んで家族会議を行うのもあり! 配偶者に知恵をつけられての相続人の変心を防ぐ。生前の家族会議は本人が生きており、抑えもきく!
【元気なうちの準備が「争族」を防ぐ】
鞠子千春弁護士
三島総合法律事務所(東京都品川区)
一般企業(総合職)、都内法律事務所勤務を経て現職。相続など家事事件、一般民事事件、企業法務などが専門。予防法務にも力を入れる
□相続人になるのは? 亡くなられた方(被相続人)の孫や甥、姪も相続人になることがあります
□相続財産にはどのようなものがありますか? 遺産目録を作ってみるのもよいでしょう
□遺言を作成していますか? 遺言があれば防げる争いもたくさんあります