目指すのは、歌詞を書けるレベルの英語力。言葉選びや韻の踏み方にもこだわって、自分の感情を音楽に乗せられるようになるのが目標だ。

「目標の英語力が10だとすれば、今の実力は6で、アメリカに行く前は2くらい。でも渡米前の自分は、5くらいの力はあると思っていました。日本の生活では周りに英語を話す人がいないので、相対的に自分の英語力を高く感じていたんです。毎日英語を話す人たちに囲まれて、自分の実力を客観視できたことも、修行の成果ですね」

 歌詞に出てくる英語の発音を聞かれるなど、自分の英語力がメンバーから頼りにされていることは分かっている。それが自分の役割だとも思う。だが「上とか下とかはなく、7人は同じ土俵に立っている。ぼくもメンバーを頼りにしているし、高めてもらってもいます」と語る。

「Travis Japanは、小さな努力ができる人がそろったグループ。帰国後しばらくしたとき、移動車でスマホをいじっていたら、Hi, what’s up? という声が聞こえてきたので、何だろうと思って見たら、メンバーの中村海人が、電話で英会話のレッスンを受けていました。わずかな時間でも力を伸ばそうと努力している姿を見て、ぼくも負けていられないな、と」

 昨年末は、シンガポールと香港のイベントに立て続けに出演し、メンバー全員が英語で自己紹介や観客とのやりとりを行った。本誌が発売されるころは、全国ライブツアーの真っ最中だ。「THE SHOW~ただいま、おかえり~」というツアータイトルは、メンバー全員で意見を出し合って決めた。THE SHOWの部分は、リーダーの宮近海斗さんのアイデアで、グループのオリジナル曲「THE SHOW」の歌詞に出てくるフレーズ、“One for your loving, and two for THE SHOW(一番は君たちへの愛、二番目がショーだ)”が、メンバーのファンに対する思いと重なることが決め手になった。

「『ただいま、おかえり』の部分はぼくのアイデアです。『ただいま』は『おかえり』と返してくれる人がいるから言える言葉。そういうやりとりができる人たちがいてくださることに、改めて感謝しています」

川島如恵留さん/1994年生まれ。ジャニーズ事務所アイドルグループTravis Japanのメンバー。2022年3月から武者修行としてグループで米国に渡り、同年10月「JUST DANCE!」で世界デビュー。米国滞在中にTravis Japanとして出場したダンスコンテストでは全米4位、世界9位に入賞。

(文/木下昌子)

※『AERA English2023』から抜粋

暮らしとモノ班 for promotion
大谷翔平選手の好感度の高さに企業もメロメロ!どんな企業と契約している?