「営業は足」「現場百遍」。濃密な対面コミュニケーションこそ、仕事の極意……はもはや過去のもの。電話は敬遠され、メールも不便。「第4の対話ツール」が定番になりつつある。「会わない」からこその仕事術とは?
東京都内で薬局15店舗を展開する東京調剤センター(東京都品川区)地域連携室の佐藤哲郎さんが手放せないのが、スマホとタブレット端末。もともと内勤だったが、最近は店舗や薬を届ける高齢者施設などを、毎日飛び回っている。
佐藤さんのスマホには、おなじみのLINEのグループチャットの画面が映っている。
「田園調布店でこの薬が足りないんですが、誰か届けてもらえますか?」という書き込みに続いて、「私が向かいます」。
営業に回っている同僚からすぐに返信があった。
一見通常のLINEと変わらないが、これはLINEの企業向けツールである「LINE WORKS」だ。
佐藤さんは、普段から離れた店舗や本部スタッフとのやりとりが多い。施設や個人宅へ薬を配達するといった休日対応もある。数年前からは、医療機関や介護事業者との連携などで地域に出かけていく機会も増えた。
だが、車での移動中は電話をかけられない。メールはオフィスにいるときしか見られない。
そのうちに、佐藤さんのように移動が多い社員や、他店舗との連絡を密にとる薬局長は、自主的に自身のLINEアカウントでグループを作って、やりとりを始めた。
ただ個人のアカウントを使うと、仕事とプライベートの境界があいまいになりがち。そこで同社は昨年3月、LINE WORKSの導入を決めた。見た目や使い勝手は通常のLINEとほとんど変わらない。
まずは薬局長や本部スタッフら30人程度で試してみたところ好評。営業に回っているスタッフに、他の店舗や施設に薬を届けてもらうように頼んだり、在庫が切れた薬を他の店舗から取り寄せたりするといった対応が、電話よりもずっとスムーズになった。