長男(1)が生まれてからは家事育児タスクが急増。佐知子さんが寝かしつけの途中で寝落ちしても、翌朝には流し台に放置していた食器が洗ってある。ノー残業デーの毎週水曜日は夫が7時に帰宅するので、2人で洗濯物を畳んだりして、すべての家事が倍速で片付く。こうした「協働」を加味すると、日常は50:50のはずなのだが、「レンジフードを取り換える」「衣替えをする」など、不定期の領域に妻だけが担当しがちなタスクが多いことがわかった。
●夫の領域はやらない
一方、2人の男の子を育てるウェブデザイナーのワシノミカさん(39)は、明確な「分業」を意識している。会社員の夫(42)が責任をもって遂行するのは、朝食づくりなど朝の家事回りと、郵便物のチェックや夜泣き対応といった帰宅後にできるタスク。これで分担割合は、妻60%、夫40%。
「洗濯は何度言っても柔軟剤を入れてくれなかったりするので私がやることにしましたが、彼ができることは私はやらない。たまに代わった時には『これ、やっておいたから』と言葉に出して、彼に自分の領域であることを知らせています」
家事代行のマッチングサイト「タスカジ」は、夫婦で家事シェアを進めるために家事の棚卸しをするワークショップを開いている。運営会社CEOの和田幸子さんはアドバイスする。
「洗濯物は外干ししたい、掃除機は上からかける、など『こだわり』や『趣味』のようなマニアックな作業は分担するタスクには含めないことが、円満に進めるコツです」
●妻の妊娠で夫に偏る
タスク表に記入したことで、分担の再検討に入ったというのは、ちりとりさん(ハンドルネーム、37)夫婦。夫婦ともにメーカーの研究開発職で、結婚当時は半々だった分担が、妊娠、出産による妻の体調不良を機に夫(41)に比重がかかり始め、妻40%、夫60%に。
しかも妻の担当は「新聞をまとめて捨てる」「予防接種の予約をする」など、不定期のタスクや、あまり時間のかからないルーティンばかり。「保育園に迎えに行く」など時間がかかるものや、「レンジフード・電球を取り換える」といった事前準備が必要なものを夫が担当していることがわかった。
「奥さんが家事をして疲れるよりも、僕がすることで奥さんが笑顔で元気なほうがいい」
と夫は前向きだが、今後はそれぞれの得意、不得意分野にも配慮して、夫の負担を減らす方法を考えるという。
●隠れタスクにストレス