かつては東大卒女子というだけで希少価値があった。だが今は高学歴女性が増え、注目されるには頭脳「プラス付加価値」が必要だ。それが「美」。「文美両道」を地で行く東大卒女性がいる。
スタイルが良く、上品な雰囲気の政治学者、三浦瑠麗(るり)さん(35)もそんな一人だ。この4月からはニュース番組の総合司会を務め、女性の若手論客としてメディアなどでひっぱりだこだ。
三浦さんは常に、マイノリティーの道を歩んできた。東大在学中は「理科I類」でクラス50人中女子は2人。シケプリ(試験プリント)も回ってこず、疎外感をおぼえた。男子学生とは話が合わず、自然とキャンパスから足が遠のいた。
他学部の講義を聴くうち、政治理論にのめりこみ、公共政策大学院に進んだ。政治学者になったが、ここでも周囲から浮いてしまう。
「女性学者というと、ツイードのスーツを着るとか、早口でしゃべるとか、型にはまった像を求められることがある。私は大きい柄模様のワンピースも着るし、ゆっくり話すほう。今までにないタイプなので扱いにくいと思われるようです(笑)」
周囲と価値観が合わず、かといって簡単に合わせることもできない。そんな経験は、結果として執筆に生かされている。
「政治学者としてすぐれた理論を打ち出すのも大切ですが、読者に納得してもらうには情感に訴えないといけない。マイノリティーの立場を味わったからこそ、人の気持ちがわかることもある。いま政治関連本の読者は多くが男性ですが、女性にも読んでもらえる本を書いていきたい」
学者としてあえて女性の強みを挙げると「共感力」だろうという。人とぶつかったり理解されなかったりした経験があるほどその力はつくと感じている。
※AERA 2015年4月27日号より抜粋