「妻は詫びるどころか、開き直って『だいたいあなたが私を無視しているから、親切にしてくれるあの人たちと一緒にやる気になったのよ』と私を責めます。さらに、わが家に自分の居場所がないから、離婚してくれというのです」

「離婚110番」の澁川氏は、「夫が長年にわたって、妻に無関心だったために起こった離婚騒動」と指摘する。

「部屋中に段ボールが積まれていることを妻に確認しないのは、妻を見ていない証拠です。また60代以上は若い世代と違って、金銭管理を妻に任せっきりの夫が多すぎる。若い世代なら、スマホで共有の口座を閲覧し合ったり、ネットを活用して夫婦の財産管理を一緒に行っていますが、このケースのように夫が通帳も見ないで妻に任せきりにしているのも60代以上の特徴。夫にも落ち度があるでしょうね」

 妻に関心がなかったせいで、財産の喪失と共に、妻の心まで失ったといえる。財産の管理を任せているからといって、夫婦間の信頼が保たれているとは限らない。

 金銭的なことが原因で離婚問題を長引かせるのも、熟年世代の特徴といえる。友川響子さん(59歳・仮名)は「財産はいらないからすぐに離婚したい」という気持ちを抑えて、計画的離婚を選択した。それは61歳のサークル友達の長引く離婚問題を知っているからだ。

「友達は夫に置き手紙をして実家に戻りましたが、夫が離婚に取り合ってくれなかったそうです。そこで弁護士にアドバイスをもらっているうちに、気持ちが落ち着いてくると財産分与を求めたいと思うようになり、それが離婚問題を長期化させています」

 前述の澁川氏は、「20代や30代の若い世代は離婚と同時に人生をリセットしたいという願望が強いため、金銭的なことは後回しの傾向があります。ところが60代以上で別居が長くなると、財産分与を求める人がとても多い。老後に一人で生きていくことへの不安があるからでしょう」。

 金銭に絡む離婚は熟年世代ばかりではない。最近、熟年世代を悩ませる子供世代の特徴として、一部の男親が子供を働かせようとする傾向があるという。

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