女子アナと企業の広報。樋田さんの頭の中ですぐに異質な二つの要素が結びついたという。

「地方の女子アナたちはいわば自分をブランディングすることに長けた女性たちです。全国各地にある中小企業の多くはPRまで意識が回らないという企業が多い。アナウンサー経験をいかし、企業広報、PR業務についてもらうことでお互いウィンウィンになれるのでは、と考えました」

 現在の女子アナ広報室のメンバーは20人。全員、各地で女子アナとして活躍してきた精鋭たちだ。昨年12月には第2期生のオーディションが実施され、100人以上の候補者から2人が選ばれた。

「実力ある女子アナたちは各地にたくさんいます。彼女たちがそれぞれの故郷や元々住んでいる地域でキャリアをいかしてできることはないか、と考えたときにも企業広報なら力を発揮できると考えました。故郷で子育てしながら自分なりの働き方で活躍している人もいます」(樋田さん)

 樋田さんが特に印象に残っているエピソードがある。ある経営者は見た目が少し怖い感じだった。

 樋田さんは「ファッションコーディネート」と「ヒゲをそる」ようアドバイス。イメチェンした経営者は印象が明るくなり、自ら企業の広告塔としてトップセールスを精力的にこなすようになったという。

「やはり社長自身が企業の広報役、顔になることが大切ですね。どう自社をPRすればお客様の目に留まり、心に刺さるか。私たちは伝えるプロ。その経験をいかして皆さんに気付いていただければと思っています」

 樋田さんに今後の目標を聞いた。

「夢は全国展開です。そして50社まで広げるのが目標です。必要に応じて女子アナのオーディションも行い増員して更にパワーアップしていきます」

(本誌・野田太郎)

週刊朝日  2020年1月31日号

暮らしとモノ班 for promotion
2024年の『このミス』大賞作品は?あの映像化人気シリーズも受賞作品って知ってた?