広島の野間(C)朝日新聞社
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広島の長野(右)と巨人の丸(C)朝日新聞社
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 球団史上初の開幕から5カード連続負け越しで最下位に沈んでいた広島が徐々にチームの状態を取り戻しつつある。

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 他球団のスコアラーたちが「最も怖い球団」として口をそろえるのは広島だった。在京球団のスコアラーは「チームの地力を考えると広島は絶対に上がってくる。丸佳浩が抜けて弱くなったと言われているけど、選手一人一人が野球を熟知しているし手強いチームであることは変わらない」と警戒を口にする。

 違う球団のスコアラーも「シーズンは長い。どのチームも勝てない時期がきます。広島はどん底の時期が開幕にきただけ。首脳陣、選手も全く慌てていないでしょう。投打の歯車がかみ合えばどんどん上がってくると思います」と分析する。

 昨年までセ・リーグ3連覇と黄金時代を築き、今年も優勝候補の本命だった。2017、18年と2年連続セ・リーグ最優秀選手(MVP)を受賞した丸は巨人にフリーエージェント(FA)移籍したが、野間峻祥、西川龍馬と伸び盛りの若手たちは中堅のレギュラーを担う能力を十分に持っている。

 巨人からFAの人的補償で実績十分の長野久義も加入。充実した顔ぶれは野手だけではない。投手陣も17年に左ひじを手術し、昨年は1軍登板がなかった左腕・床田寛樹がオープン戦の快投で先発ローテーション入りを勝ち取った。昨年はリーグ優勝したものの、先発陣のやりくりで苦労しただけに総合力は昨年と遜色ないという前評判だった。

 だが、ふたを開けてみれば低空飛行が続いた。3月29日の開幕戦は巨人に完封勝利で最高のスタートを切ったと思われたが、その後は先発が序盤で大量失点を喫し、守備も失策を連発する王者らしくない戦いぶり。4月10日のヤクルト戦(マツダスタジアム)では延長戦史上最多の1イニング12失点と屈辱的な大敗を喫した。

 16試合を消化して4勝12敗。このまま沈んでいくのかと思われた中、上昇気流に乗るきっかけになったのが17日の巨人戦(本)だ。

 同点の8回に丸に勝ち越し2ランを浴びて敗色濃厚の展開で、9回に相手守護神のライアン・クックを攻略して3得点を奪って逆転勝利した。

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目覚めた広島