うつ病を克服し、偏差値29から東大に合格。ベストセラー『偏差値29から東大に合格した私の超独学勉強法』の著者・杉山奈津子さんが、今や3歳児母。日々子育てに奮闘する中で見えてきた“なっちゃん流教育論”をお届けします。
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小さい頃から宿題をやらせてもあまり効果がない、という研究結果が出ています。デューク大学で宿題の研究をしていたハリス・クーパー氏によると、宿題がどれだけ役に立つかは年齢によって異なるのだそうです。小学生程度の年齢の子どもが、宿題をやみくもにこなしても成績は上がらないのだとか。
確かに、小学生の頃の算数の宿題といえば、6×7や、3×5など、単純な計算ばかり。考えさせる問題というより、作業に近い問題が多い気がします。文章問題を解くようになれば、嫌でも身についていく能力です。それを、「なんのために勉強しなきゃいけないのかわからない」と言いながら、集中せずに、だらだらと家でやっていたからといって、今後、問題を解く能力がアップするはずがありません。
■宿題をやることでやっと成績が上がるのは、高校生から?
クーパー氏は中学生でも宿題が成績を向上させる影響はない、と言っています。高校生になってくるころに、やっと宿題をやることで成績があがるというメリットが出てくるのだそうです。ただ、この時期も1日2時間が限度で、それ以上時間をかけると、メリットは逆に少なくなってしまうとのこと。そもそも、苦手な分野は人によって違うわけですから、宿題とはいえ自分の得意な分野を必死に勉強しても効率が悪いでしょう。それに、家で勉強するときは時間の区切りがないので、どんどん時がすぎていきます。短時間で一気に終わらせなければ、集中力は上がりません。
つまり、クーパー氏は、幼少期に楽しいことに専念させず、宿題をぐだぐだとやらせることで、逆に子どもの集中力を失わせてしまうと懸念しているのです。また、運動やゲームなど子どもの楽しみをつぶして宿題をやらせても、子どもは勉強が嫌いになってしまいます。
人は、「無理やりやらされる」行動を嫌います。だからこそ、小学校のうちから、大好きな運動や遊びをやめさせ、強制的に勉強をやらせるのは、将来を考えれば悪影響が出てくる可能性があるのでしょう。クーパー氏は、自発的な勉強でないならば「小学校の宿題は禁止するに値する」とまで言い切っています。集中力を伴わない宿題は、意味がないのです。