帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「死を生きる」(朝日新聞出版)など多数の著書がある
帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「死を生きる」(朝日新聞出版)など多数の著書がある
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写真はイメージです (c)朝日新聞社
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 西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱する帯津良一(おびつ・りょういち)氏。死ぬまでボケない「健脳」養生法を説く。今回のテーマは「祈ることの効果」。

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【ポイント】
(1)祈りには治癒効果があるという研究結果が
(2)祈りが遺伝子発現のスイッチを入れる
(3)「祈りに満ちた心」を持つことが大事

「困ったときの神頼み」という言葉があります。日頃、宗教心がない人でも、どうしようもない時には「祈る」という行為にすがりたくなるのではないでしょうか。

 私の知っている患者さんにも、行く先々で神社仏閣があると必ずお参りして祈る人がいます。この方はただ祈るだけでなく、抗がん剤による化学療法をした後に食事療法をはじめとする代替療法も実践し、見事に急性骨髄性白血病を克服されました。

「祈り」を医療の中でどう位置づけるかというのは、実は大事なテーマです。

 心と自然治癒の関係を研究して世界的に知られるラリー・ドッシー博士は、『祈る心は、治る力』(大塚晃志郎訳、日本教文社)で、こう書いています。

<祈りの力が、よみがえりつつある。……20世紀の大半にわたって隅に追いやられた後、今や現代医学において、祈りは、ステージの中央にその場所を移しつつある>

 実際に祈りと治癒効果の関係についての研究が、多数行われるようになっているのです。

 祈りを行う患者さんのグループと、行わない患者さんグループの治癒効果を比較するのですが、そうした研究の半数以上で祈りには治癒効果があるという結論が出ています。

 この治癒効果について、分子生物学者の村上和雄さん(筑波大学名誉教授)は遺伝子のレベルで説明しています。

 ひとりの人間の全遺伝子情報(ゲノム)は約32億の化学の文字(塩基配列)から成り立っていますが、そのうち通常に使われるのは2、3%に過ぎないのです。つまり、ほとんどの遺伝子情報は使われていません。遺伝子情報が使われることを「遺伝子発現の活性化」といいます。そして、この活性化のオン、オフのスイッチに祈りは関与しているというのです。

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