子どもの時期は、1カ月や2カ月という単位で、ものすごく成長していきます。そのため、晴れ舞台となる運動会や発表会では、親だけでなく祖父母も加わり、この日のために購入した高価なビデオカメラに子どもの姿をしっかり収めようと、朝早くから席取りが始まるほど。子どもが張り切って頑張っている姿を、親は当然見たいわけです。
うちの幼稚園はイベントがたくさんありますが、その全てを親が見られるわけではありません。入園希望の子どもたちに向けた発表会のような行事は、普通の保護者は出席できません。しかし役員をしていると、イベントのお手伝いをしますから、特権としてわが子の様子を見ることができるのです。朝早くの席取りが必要になる運動会も、お手伝いをすることで、優先的に前で子どもを見られます。
■PTAの役員には、仕事としての対価を払うべき
そこで私は、「PTAはボランティア形式を廃止し、仕事として対価をきちんと払う組織へと改変すべき」ではないかと思いました。役員を「やらないならマイナスにする」のではなく、「やるならプラスにする」という方向にもっていくのです。強制的なボランティア活動では、誰だってやりたくないと思うのが当たり前です。ならば例えばですが、お互いに金銭を出し合って、役員になった人に対価として給料を出す「仕事」という形にすれば、わだかまりがなくなるのではないでしょうか。仕事で参加が難しい人はその分給料からお金を出し、参加できる人は役員として給料をもらえば、子どもに被害が出ることもなく「やらない人はずるいという不公平な気持ち」も緩和されます。
私が高校のとき、掃除は生徒がやるものでしたが、他の学校にいた子の話では、外部から雇われた専門の人が掃除をしていたと聞きました。それと同じように、活動のための人員を外部から雇える仕組みをつくるのもいいかもしれません。
あまりにも当たり前のように存在している「PTA」ですが、一度、そのあり方を見直してみたほうがよいのではないかと思います。
◯杉山奈津子(すぎやま・なつこ)1982年、静岡県生まれ。東京大学薬学部卒業後、うつによりしばらく実家で休養。厚生労働省管轄医療財団勤務を経て、現在、講演・執筆など医療の啓発活動に努める。1児の母。著書に『偏差値29から東大に合格した私の超独学勉強法』『偏差値29でも東大に合格できた! 「捨てる」記憶術』『「うつ」と上手につきあう本 少しずつ、ゆっくりと元気になるヒント』など