「加入しなかったのだから自業自得」と言う人もいるでしょう。ただ、その行為自体を考えると、まぎれもなく「PTAによる子ども差別でイジメが発生してしまう」のは明白です。入るか入らないかは任意だけれど、入らなければ子どもが被害を受ける。完全に村八分の世界です。これでは、子どもを人質にとって選択肢をなくし、強制的にやらせているのと同じ。
子どものためにあるべきものなのに、肝心の子どもに害がいく可能性もつくるのなら、PTAという組織本体の性質に矛盾があるのではないかと、甚だ疑問に思います。
以前、専業主婦である母親に、「PTAの活動のために、仕事を毎回休むのは難しいから、専業主婦の人が積極的にやってくれればいいのに」という話をしたことがあります。すると母に、「仕事をやっている人はその分、お給料というお金をもらって家庭のものにしているのだから、専業主婦にだけ学校の仕事を押し付けるのは都合がよすぎる」と反論されました。
その意見は理にかなっています、今では多くの人が兼業主婦をしているので、全てを専業主婦にお願いしていたらあまりに偏りが出て、「不公平だ」と思うのは当然でしょう。出席できない人たちだって、一部の親にばかり負担をかけてしまい、罪悪感を抱くことになります。
■ボランティアというくせに、実際は強制参加
かといって、PTAの仕事のために何度も何度も仕事を休んでいたら、会社に迷惑をかける事態となります。ハッキリ言ってしまうと、PTAは「親同士の仲を悪くする」組織にもなりかねません。
ボランティアというくせに、実際は強制参加です。ボランティアの意味は「自分から進んで無償で社会活動に貢献する人」なわけですから、「強制的なボランティア」は日本語として破綻しているのです。
それにも関わらず、私の息子が通っている幼稚園の「父兄会」では、役員がすんなりと決まります。むしろやりたい人が多くて、あみだくじになることもあるのだとか。おかげで、面倒な「学級委員を決めるときの気まずい雰囲気」も「やらなくてはいけないかもしれないという精神的負担」も全くありません。その理由は、役員をやることで「他の父兄が見ることのできない行事を特別に見ることができる」からです。