「妻の接し方が変われば、夫も変わるもの。“優しく頼めば、旦那が調子に乗るから腹が立つ”という妻も多いですが、夫を思うように動かすコツは、いかに調子に乗らせるかです。夫をうまく調子に乗らせて、家事に協力させましょう」(高草木さん)
高草木さんいわく、調子に乗らせるコツは、“自己重要感”を与えること。夫の自尊心を上手にくすぐることだ。
一般的に、会社人間だった男性は、リタイア後に「誰からも必要とされていない」「社会から取り残されてしまうのでは」という焦燥感を募らせる傾向にある。こうした男性ほど、妻から必要とされることで、自分の価値や存在意義を実感できるという。
例えば、“高くて私には届かないから、取ってくれるとうれしい”“瓶のふたがかたくて開けられないから開けてほしい”など、簡単なことでいいので、夫に頼むこと。それは演技でもいい。自分を頼りにした人をがっかりさせたくない、という心理が働くからだ。
「重要なのは、必要感をいかにくすぐるか。なのに、“あなたって家のこと、何にもできないんだから!”と、真逆のことを言ってしまう妻が多い。そんなときは、“やるときはやってくれるから助かる”など、ちょっと言い方を工夫するだけで、夫の行動はぐっと変わってくるものです」(高草木さん)
「助かる」「ありがとう」と感謝の言葉を口にするのもポイント。さらにそこに魔法の言葉を加えると、もっと夫を思いどおりに動かすことができる。
その言葉は「いつも」だ。実際に手伝ってくれるのは時々であっても、「いつも~してくれて助かる、ありがとう」と、「いつも」を意識的に付けると大きな心理的な効果を生む。「いつも助かってる」「いつも丁寧にやってくれてありがとう」など、「いつも」を多用することで、“いつもやっている俺”という意識が生まれ、レッテル効果で、実際に頻繁に自ら動くようになる。親からの“いつも弟・妹の面倒を見て偉いね”という言葉で、上の子がしっかりしていくのと同じ構図だ。
「レッテル効果によって、自分を褒めてくれる人を裏切ってはいけないという心理が芽生えます。その逆は、“何をやってもダメなんだから”という言葉。これを多用すると、“何をやってもダメなんだから、やらなくていいや”という考えになる。言い方一つで、良くも悪くも、心理的なレッテルが生まれてしまうので注意して」(高草木さん)