うつ病を克服し、偏差値29から東大に合格。ベストセラー『偏差値29から東大に合格した私の超独学勉強法』の著者・杉山奈津子さんが、今や3歳児母。日々子育てに奮闘する中で見えてきた“なっちゃん流教育論”をお届けします。
* * *
子どもに「我慢させること」。これは、非常に難しいことです。子どもがオモチャの前で号泣しながら「これ買って」と大暴れしているのを、引きずって帰るのは大変な労力が必要です。ずっと「欲しい」と言っていたオモチャが店になく、ものすごく悲しそうにされれば探して買ってあげたいと思ってしまいます。もっと遊びたいと言っているのに帰らせるのも可哀想ですし、ひっぱって帰るのも疲れるし、はっきりいって、子どもの我慢は、親の我慢と連動しているところがあると思います。
そんな子どもの「我慢」に関して、アメリカで、こんな実験が行われました。スタンフォード大学のウォルターという心理学者が、年中さん程度の子どもに対してマシュマロをみせ、「このマシュマロを今すぐ一つもらうか、15分後に二つもらうか選んでください」と言ったのです。そして、呼び出しベルとともにマシュマロ一つを机に置き、ウォルターは部屋を出て子どもを1人にしました。もしマシュマロを食べたくなったらベルを鳴らす、15分我慢して食べなければマシュマロが二つもらえる、という仕組みです。
当然ですが、たった15分待てば2倍のおやつがもらえるのですから、待つ方が賢い選択でしょう。しかし、相手はほんの4歳の子どもです。大人で考えれば、「今、千円もらうのと、1年後に1万円もらうのとどちらがいいか?」くらいの話でしょうか。すぐ目の前にある誘惑は魅力的なものです。私の息子はマシュマロが大好きなので確実に食べるでしょう。そして「食べてない」と言い張りベルを鳴らさない気がします。それはさすがに通らない幼稚な言い訳ですが、実際の実験中に隠し撮りしたビデオでは、マシュマロが見えないように髪で隠して食べたり、舐めただけで「食べてない」と言い張ったりした子もいたようで、なかなか賢いものだと思いました。