偏差値が下がった学部を見ると、人間科学部が20年前の58から56に、スポーツ科学部が10年前の56から53となった。
慶應は近年、偏差値が全体的に上昇していた。法、文、商など早稲田より偏差値が上回る学部も目立つ。
東進ハイスクールによると、早稲田と慶應の法学部に合格した人の94.4%が慶應に進んだ。早稲田・政経と慶應・経済でも、61.1%が慶應を選んでいる。
文系では特に法学部の人気が高い。偏差値は69で医学部に次ぐ高さだ。慶應法科大学院は昨年の司法試験に最も多く合格している。合格率でも京大、一橋、東大に次ぐ4位で、私大ではトップだ。
「人気を集めているのは法曹だけでなく、一般企業への就職が強いこともある」(石原さん)
経済は偏差値が20年で7ポイント増えた。法学部と並ぶ看板学部だ。メガバンクや総合商社などに、卒業生が多数入っている。就職に強いと言われる慶應の中でも、とりわけ実績がある。
経済学部と商学部は一般入試の受験科目に国語がなく、小論文がある。国立大を志望する人が併願しやすく、人気につながっている。両学部は試験日を前倒しして、国公立2次試験との間隔を空けている。大学側も「併願しやすくする狙いはあった」と認める。
偏差値を見ると、低下が目立つのが湘南藤沢キャンパス(SFC)の2学部だ。総合政策は20年で5ポイント、環境情報は3ポイント下がった。両方とも90年に設置され、いち早く授業にインターネットを導入するなど、大学改革の先駆けとして評価された。一時は偏差値が経済学部を上回るなど“看板学部”だったが、志願者は伸び悩んでいる。
「志願者が減っているのは、立地の影響もあると思います。かつては他大学にはない学部でしたが、いまでは同じような学部もできています。アクセスを考えると、都心のほうがいいという人が出てくるのは仕方ない」(慶應広報室)
志願者数を全体で見ると、慶應は4年ぶりの前年割れとなった。早稲田は3年連続で増やしていて、盛り返しつつある。
「30年くらい前は早稲田が強かった。そこに慶應がSFCをつくり、相乗効果でほかの学部も人気が上がった。早稲田は独自の戦略でいま大学を変えてきています。お互いに高め合っていく歴史なので、今後もどうなるかはわかりません」(同)
早慶は永遠のライバルとして、比較されてきた。その中で受験生を集めるべく、様々な改革が進んだ。今後も新たな人気学部が登場することだろう。(本誌・吉崎洋夫)
※週刊朝日 2018年3月30日号