私立大のトップの早稲田と慶應。文系から理系まで多くの学部があるが、人気は時代と共に移り変わる。偏差値と志願者数の20年間の変化をもとにたどってみよう。
早稲田の本部キャンパス。この20年で新しい校舎が次々に建ち、バンカラと言われたイメージはいまは昔。全体の女子の比率も増えていて、1997年度に24.8%だったのが、2017年度は37.5%に上昇している。外国人学生も増加していて、16年度には7156人と約7人に1人の割合となっている。
ある職員はこう話す。
「20年前に学生としてキャンパスにいましたが、いまは女子学生の姿が目立ちます。様々な言語が飛び交うことも珍しくありません」
女子や外国人を引きつけているのが、04年にできた国際教養学部だ。約2700人いる学部生のうち女子の比率は約6割にも及ぶ。外国人学生も3割超だ。駿台予備学校の偏差値で見ると64で、全体の中でも高い。入るのが難しくなったことで志願者は減っているが、人気学部であることに変わりはない。
07年に第一文学部と夜間学部の第二文学部が改組され、新しくできたのが文化構想学部。志願者数は文学部を上回っている。
さらに注目されているのが社会科学部だ。志願者はこの20年で4割増えた。偏差値は4ポイント上昇し62。河合塾が発表する偏差値では最難関の政治経済学部と一時同じになり、関係者の間で「大躍進」と話題になった。
もともとは66年に政治経済、法、商などの夜間部を統合してできた夜間学部だった。98年から昼夜開講制となり、09年からは夜の授業を廃止して、昼間学部へと変わった。
駿台教育研究所の石原賢一・進学情報事業部長は「政治経済や法に比べ合格しやすいと思われていて、多くの受験生が志願します。しかし、難易度は上がっており、昔のイメージで臨むと厳しい」。
社学の人気は、複数の学部に合格した人の選択にも表れている。東進ハイスクールの17年のデータによると、教育と社学の両方に合格した人のうち9割超が社学に進学した。
背景には、少子化もあって教員の採用数が減り、教育学部の人気が全国的に低下していることもある。教育学部の偏差値は10年前より4ポイント下がった。難易度が下がったことで、どうしても早稲田に行きたい人が多く受けるようになり、志願者は10年前より増えている。