韓国や中国勢の躍進が著しい電機・ハイテク関連業界や、安定した業界と見られていた金融界にもリストラの嵐が吹き荒れる。
エリートが集まった銀行業界のみならず、学校法人でも人員リストラは避けられない。大学教授も失業者になり得る時代だ。
国立大学は法人化し、国からの運営交付金が年々少なくなる一方、資金集めの自助努力が求められる。東京大学なども例外でなく、事業収入を増やし、人件費など経費削減を進めている。
財務省はウェブサイトで、07年度以降に国立大学の学生数が1万7千人減少する一方、約2万人増加している教職員の適正規模について検討の必要性を指摘。ここでは北海道大学の事例をみてみよう。
北大は一昨年の前総長時代、教員人件費の大幅削減を含む中期計画を打ち出した。21年度までに約2千人いる教員の人件費を14.4%削減する。教員人件費は1ポイントで約1千万円、教授換算で1人分となり、削減規模は205ポイント、つまり教授205人分に相当する。削減ポイントは各部局ごとに細かく割り振られている。
その後、人件費削減に抑制的な考えの新総長が選ばれ、昨年4月に就任した。教員人件費の削減幅は7.5%、教授換算で100人相当となった。
関係者によると、教授100人分の人件費削減といっても解雇するわけでなく、退職者を補充しないとか、承認人事を控えるなどで対応せざるを得ないという。
北大側は現行中期計画を「昨年7月に策定して実施した」という。一方、教職員組合関係者は「昇進や新規採用など学内人事はほぼ凍結している」と述べ、現場は人件費削減に「猛反発している」と語った。
ある北大教授は「深刻なのは若手」と話す。「自分のような教授の立場と違い、若手教員は昇進が止まり、任期もあるため、北大から出ていかざるを得ない」と危機感を持っている。
北大が進める人件費削減計画を達成できないと研究費が影響を受ける。教職員組合関係者は「大学全体として予算が厳しい」と述べ、「外部から資金を稼げといわれ、みなさん必死になっている」と話す。「全体では収入が増えているが、自由に使えるお金は少なくなっている」と語り、研究費にしわ寄せがいくという。