私大ではさまざまな動きが出ている。例えば地元自治体がスポンサーとなる事例で、長野県の諏訪東京理科大学などは公立化する。
私大同士が統合した事例もある。09年に武蔵工業大学が東横学園女子短期大学を統合して東京都市大学となり、11年に上智大学が聖母大学を統合し、聖母大学が14年に閉校した。
系列関係の学校なら統合しやすいが系列関係がないと難しい。私大は独自の建学の精神を持ち、求める理想像が異なる。企業はライバル関係にあっても利潤追求の目標は同じで、経営統合も珍しくない。
私大には仏教系、カトリックやプロテスタントのキリスト教系など宗教・宗派が明確なところも多い。同じ宗教・宗派で統合相手を探すと選択肢は限られる。
閉校を選んだ私大もある。東京女学館は短期大学を4年制大学に転換したが、定員割れが続き、13年度から学生の募集を停止し、昨年閉校した。一方、系列の高校や中学校、小学校は存続している。
私大には高校、中学校を含めて学園が運営しているところが少なくない。学園内で定員割れが続く大学を閉校しても、職員を系列校で引き受けるよう備えているところもある。関係者によると、学園全体で正規職員は管理職など主要ポストにとどめ、一般職員をできるだけ非正規とし、柔軟に対応できるようにしている。こうした対応なら、大学を閉校しても職員は系列校への配置転換ですむ。だが、大学教員は別だ。高校、中学校は教員免許を要し、免許のない大学教員は系列校で引き受けられないという。
定員割れが続き運営が立ちゆかず、閉校せざるを得ない私大が相次ぐのは時間の問題とみられている。大学教授も柔軟な姿勢で民間企業などに転職できないと失業する可能性がある。(本誌・浅井秀樹)
※週刊朝日 2018年3月9日号より抜粋