教育ジャーナリストの斎藤剛史氏は、大学の組織運営が日米で全く異なると指摘する。米国は経営の専門家を外部から迎えるが、日本は学内から選び、運営ノウハウを持っているのか疑問を呈している。また、「米国では大学への寄付が盛んだが、日本では寄付行為が一般的でない」という。
定員割れしていない国立大学でも運営は厳しいが、より深刻なのは私立大学だ。私大は大学全体の8割を占め、うち4割ぐらいで定員割れ。少子化に、大学進学率が高止まりする中でも、私大新設が相次いでいた。
文部科学省の学校基本調査で、昨年5月1日現在の私大は604校、私立短期大学が320校、教員数は非常勤・兼務者を除く専任(本務者)だけでそれぞれ10万7425人、7446人。
教育関係者の間では2018年問題がささやかれている。120万人前後で推移してきた18歳の人口が18年以降に再び減少し、40年には80万人まで落ち込むと推計されている。
文部科学省は定員割れ大学に対して厳しい姿勢で臨み、補助金をさらに減額していく方針だ。
運営が限界状態の私大は、生き残りの模索のみならず、閉校も視野に入れざるを得なくなっている。
学校運営に詳しいコンサルタントの針生俊成クレイア・コンサルティング・マネージング・ディレクターは、こうした私大について「過当競争の構造不況業種」と指摘する。「収入を増やせる一部の私大を除き、最大のコストの人件費を削らざるを得ない」とみている。私大の収入源は主に学費や補助金で、定員割れで収入が減っている。
厳しい運営の私大では教職員の賞与を少額まで大幅削減したところもある。山口県下関市の梅光学院大学は16年4月に赤字体質で教員の給与や退職金などを引き下げ、これを無効と主張する教授ら10人が昨秋提訴し係争中だ。原告の一人によると、手当を含む給与が月4万~7万円程度減り、退職金が約700万円減る人もいるという。