日本勢が続々とメダルを取っている平昌オリンピックだが、一方で、競技時間が朝、夜に変更されるなどで出場選手たちが四苦八苦していることが話題になった。なぜ、こんなことになったのか? オリンピックの巨額の放送権料が、その一因といわれ、ある放送局が競技時間を自国の都合のいい時間帯にするよう要望した結果だという。
スポーツジャーナリストの谷口源太郎さんは、莫大な放送権料を支払っているテレビ局の存在をこう指摘する。
「米国NBCが、IOC(国際オリンピック委員会)に巨額のオリンピックの放送権料を支払うことで、発言の影響力を強めました」
NBCは2014年ソチ大会から20年東京大会までの夏季冬季オリンピックの放送権料を43億8000万ドル、22年北京大会から32年の大会(まだ開催地は未定)までの放送権料を76億5000万ドルという莫大な金額を支払っている。これは全世界の放送権料の半分をNBC1社で占める。日本はNHKと民放からなるジャパンコンソーシアムが、平昌大会から24年パリ大会までの4大会で1100億円。
米国では、冬季オリンピック種目であると、フィギュアスケート、スノーボード、フリースタイルスキーが人気。今大会では、フィギュアスケート全種目が午前10時からのスタートとなっている。9日の団体で、有力選手が次々とジャンプで転倒。競技時間が、選手たちが普段の試合時間でない朝からということで、調整が難しかったと言われた。
スノーボードも今回、どの種目も朝からのスタートばかりだ。男子ハーフパイプで金メダルを獲得したショーン・ホワイトなど人気スター選手がおり、視聴率が稼げるキラーコンテンツで、この時間帯になったと思われる。前回ソチオリンピックでは大半の種目の決勝は夜に行われていた。
「米国の東海岸のゴールデンタイムに合わせた時間だと思います。IOCにとって、財政基盤が不安定なスポンサー料より、放送権料の方が安定的な収入を見込めます。しかも巨額とあって、NBCの意向を聞かざるをえないのでしょう」(谷口さん)