26カ国(日本語版発行時)で翻訳されている『死ぬ瞬間の5つの後悔』(新潮社)は、豪州在住のブロニー・ウェア氏が、死を前にした人の介護をしながら感じた「死んでいく人が後悔すること」をつづっている。

「この本は不思議です。出版から5年経っても反響がある」(編集者の足立真穂さん)。足立さんは本の中で、ある女性が「いつの間にか、周りには自分をわかってくれる人も、自分のこれまでの人生を知っている人もいなくなっているのよ」と泣き叫ぶ場面が印象に残っている。ヘルパーである著者は言う。では、連絡を取ってみましょうか、と。でも、「どこからはじめたらいいかわからないわ」。それもそのはず。ずっと友人関係を築いてこなかったからだ。

「後悔することって、あそこで一歩踏み出せなかったとかそんなところにあると思う。ほんの少し『注意』をして過ごしておけば『あのときあれだけやったのだから』と受け入れられると感じた」と足立さん。「行動の判断を『損得』ではなく『納得』で決めるのも大事なのかも」と続けた。(本誌・大崎百紀)

週刊朝日 2018年2月9日号より抜粋