2017年、記憶に残る言葉は? 今回はスポーツ界を総ざらい。
スポーツ界では女性の有名アスリートの引退が目立った。その筆頭が女子フィギュアスケートの浅田真央だろう。2010年のバンクーバー五輪で銀メダルを取り、国民的な人気を集めていた。4月12日の引退会見では最後に、「スケート人生で経験したことを忘れずに、これから新たな目標を見つけて、笑顔で前に進んでいきたいと思います」と述べた。
女子テニス界のレジェンド、伊達公子も46歳でコートを去った。25歳でいったん退いたが37歳で現役復帰。4大大会の本戦に進むなど、健在ぶりを見せた。伊達さんは本誌にコメントを寄せてくれた。
「2017年は1年以上続いたひざのリハビリからツアーへ復帰し、数大会をこなした結果、肩を痛め、引退。そして11月末に肩の手術と本当に目まぐるしい1年でした。その中で多くの方にねぎらわれ、励まされ、大きな力を得た1年にもなりました。テニス、またスポーツが日本の文化として確立できるよう、自分にできることを模索しながら、これからもチャレンジしていきたいと思います」
女子ゴルフ界を長年引っ張ってきた宮里藍は、9月の米ツアーが現役最後となった。愛嬌(あいきょう)のある笑顔で知られる宮里は「今は解放感のほうが大きい」と試合後に語った。
一方、いろんな意味で世間の注目を集めたのが大相撲だ。稀勢の里が初場所で優勝し、19年ぶりの日本出身横綱となった。11月になると、横綱日馬富士の貴ノ岩への暴行が発覚。貴ノ岩の師匠の貴乃花親方と相撲協会との関係悪化も表面化した。最終的に日馬富士は引退し、傷害容疑で書類送検された。会見で日馬富士は、
「お酒を飲んで人を傷つけたり暴れたり、酒癖悪いといわれたことは一度もない。酒飲んだからこその事件じゃないので、これは」
などと主張。貴乃花親方と相撲協会との関係もこじれたままで、この問題は年内の決着はなさそうだ。
もちろん明るい話題もいろいろあった。高校野球では早稲田実業3年の清宮幸太郎が高校通算111本塁打と歴代最多記録を達成。9月22日のプロ入り表明会見では母校の偉大なる先輩、王貞治氏の本塁打記録について、「868本塁打は目指さないといけないという使命感はある」と語った。来年は日本ハムのユニホームを着る。
清宮と入れ替わりで日ハムを離れ、念願のメジャーリーグに挑戦するのが大谷翔平。ロサンゼルス・エンゼルスへの入団が決まり、現地のファンに英語であいさつするなど、早くも期待が高まっている。
サッカーでは、ワールドカップ(W杯)ロシア大会の最終予選を、日本代表が苦しみながらも突破した。
卓球の平野美宇の快進撃やボクシングの村田諒太の世界王者、佐藤琢磨のインディ500優勝など、表には盛り込めなかった快挙も数多い。来年は平昌五輪やサッカーW杯ロシア大会もある。選手たちの素晴らしい活躍が、また見られるはずだ。(一部敬称略)
(本誌・上田耕司、太田サトル、松岡かすみ、大塚淳史、吉崎洋夫、秦正理、直木詩帆)
※週刊朝日 2017年12月29日号